近年、
ショパンの活躍した時代のピアノを演奏したり、
ピアノや
ショパンに関する書籍を出版したり
ただ、現代のピアノを演奏するのみならず、色々な
アプローチを試みている仲道さんですが、
ここではそういった研究の成果を踏まえた新鮮な
アプローチが光る、とても好感のもてる一枚です。
有名な練習曲「革命」において、大袈裟にがなりたてる
のではなく、
ショパンの心情のひだのようなものを
感じさせる思索的な演奏を行っているので、
ドラマチックな演奏を期待しているリスナーのひとは
肩透かしをくらうのでは?
とにかく、オーバーであざとい表現を避けているし、
当時のフォルテピアノ(
ショパンやリストの時代でも)
が「いかに弱音を美しく響かせるかに重点を置いて設計
されていたのであろう。」ということがよく分かる演奏
になっている点が非常に興味深かったです。
最近、話題の
アリス・沙良・オットさんもいかに弱音を
美しく響かせるかに重点をおいたワルツ演奏を録音して
いるので、そちらもあわせてお聴きいただくとよいと思います。
ショパン:ワルツ集
仲道さんが曲想などを解説しながらピアノを弾く、というスタイルです。本当に楽しくて73分を一気に見て(聴いて)しまいました。ドビュッシーの「五感で楽しむ」や、
ショパンとシューマンの弾き方の違いなど、とても興味深い内容でした。演奏会でピアノを聴くのも楽しいのですが、ピアニストが何を考えて弾いているのかを知ることは、最高のレッスンになります。
これは入門書のようなスタンスで書かれていて前編カラーの写真や絵図、それに4コマ漫画などがふんだんに使用されているので見るだけで楽しいです。
しかし取り上げられているエピソードなどはピアニストならではの視点で深い洞察に基づいており、いままでの
ショパン本とは違い新鮮な驚きがあります。
仲道郁代さんはNHKの初心者でも弾ける
ショパン講座など大変奥深く難しいことを、初心者でもわかるように話そうとされていて、演奏家としてだけでなく
教育者としての資質にも大変優れた方だと思います。この本の中にはそんな仲道さんの思いがいっぱい詰まっていますのでそういった魅力もあります。
CDの演奏も秀逸で当然本と対応していますので、知らない曲があったとしてもCDを聴けばすぐに確認できます。まさに至れり尽くせりという感じです。
クラッシク初心者や
ショパン初心者からこれまでの
ショパン本では満足できない上級者まで興味深くそして充分に楽しめる本だと思います。