![]() 君がために~楠木正成絵巻~ (講談社コミックスフレンド B) |
「楠木正成絵巻」っていうからには、楠木正成主役!?しかも少女漫画!?疲れ目か…?白昼夢ですか!?ただの妄想?(爆)と我が目を疑ったが、ホントでした。
ただし…主人公はちいさい女の子・オリジナルキャラのあぐり。 主人公ではないものの、主要人物の正成もすぐに登場。しかし、父・正遠も絡んで冒頭からなにやら少女漫画らしからぬ不穏なムード満点で、かなりドッキリしてしまった。 これが却って読ませドコロで、やがて微笑ましいオチもあり、後の展開が期待される章ジメもあり、ヒロインがヒーローに惚れて報われないまでも尽くす…とまぁ、なるほど少女漫画的な展開ではあるが、ツボはしっかり押さえてあるなと感心。 正成の弟・楠木正季もなかなかいいポジション&キャラで登場し、妻の久子さんやちいさい楠木正行(多聞丸)の様子も描かれて、期待通りに大塔宮護良親王も…ちょっと武闘派というより品のよい雰囲気だったが、まずまずのビジュアル&インパクトで登場し、読み進める度にこちらのテンションも上がっていった。 それにしても冒頭から度々印象強く登場する敵キャラが誰か、よくわからず…。孫六…?湯浅宗藤って…誰だったっけ?(爆)とか、自らの記憶力の悪さに悩まされることしばしだったが、いい意味で南北朝をほとんど知らない読者目線で楽しめたかもしれない。 湯浅宗藤…「太平記」で出てくる湯浅定仏のことだ。確かに生没年未詳だし、いくらでもオリジナル設定は作れる。正成に下るところは史実だし、正成が武士や土豪たちをただ闇雲に攻め入って掌握したのではないところに、真っ先に触れてきたというのにも、好感が持てた。 「……正直 守りたいものがたくさんあるから戦など避けたかった ………けれど帝とてそれは同じ … それでも国のために戦おうとなさる帝に 俺はこの身を捧げたいんだ」 正成のこのひと言などは、そこをわかってないと出てこない台詞だろう。 枚数の問題か、随所展開がやや性急な感はなくもない。それでも多聞天を正成に見立て、多聞天につかえる夜叉を主人公・あぐりに、湯浅宗藤を羅刹に見立てて鎌倉幕末の一風景をすっきりとわかりやすく描いた点は素晴らしいし、南北朝ファンにも、一般読者でも楽しめる内容だった。 続編、是非描いて欲しいものだ。 ちなみに巻頭には、少女漫画では珍しく、かなり丁寧な時代背景の説明と舞台地図が掲載されている。これ、フォント小さくて若干読みづらいが、簡潔で着眼点が素晴らしい。うっかり両統迭立のあたりから入りそうなものを、鎌倉幕府の北条得宗家から南北朝動乱に至るまでの流れが綴られており、作品の歴史的背景をしっかり踏まえた編集サイドの読者に対する配慮がうかがえる。 すっとばして本編読んで、あれ?な読者も、興味を持てばこのページを端からきちんと読んで、理解を深められるし、いっそう興味がわくかもしれない。 |
![]() 陽炎 稲妻 水の月 (KCデラックス) |
江戸吉原の花魁たちの、悲しすぎる本気の恋のお話です。
「陽炎の章」「稲妻の章」「水の月の章」と、「長崎慕情」があります。 どのお話も、涙なしでは読めないと思います。 本人の意思とは裏腹に、吉原に売られ、好きでもない男に身を任せることに恐怖を感じる遊女や、男は皆同じ、お金をゆすって搾り取ろうと考える遊女など、彼女たちにもいろいろな事情がありますが、恋をするときの一途さは皆一緒です。 そしてたくさん、病気や無理な中絶で若くして亡くなり、無縁仏として吉原には若い女性たちの霊が今も眠っているという悲しい事実にも目を背けてはいけないことを教えてくれます。 現代はこの時代よりも幸せですが、これほどの一途さは逆になくなっているのではないでしょうか。 そんな中、唯一、ハッピーエンドだった「長崎慕情」が一番好きです。 このお話は同時収録で、あのシーボルトと遊女・お滝のラブストーリーですが、本当に最後の読後感が良いですね。 素直にこんな恋愛してみたいな、と思います。 |
![]() ひらひら (KCデラックス) |
見た目艶やかな遊女の、人知れない哀しさを見た。 どのお話もそうなのだが、特に妹の薬代を稼ぐために身売りする姉の話には、見返りを期待しない献身的な愛を感じ、非常に共感を持った。好きな男以外に抱かれても、決して自分を見失わない、そんな彼女たちが素敵です。 表紙に惚れて衝動買いしたが、買ってよかった。 著者の他の作品も、次の日に揃えてしまった…。 絵がとても美麗。 表紙に騙されないので、興味があればお手に取ってみてください。 |
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