週刊誌のJPOP批評しか著者のまとまった文章を読んだことがなかったので、正直言っていい意味で驚きました。中学生で「話の特集」を買ったエピソードなど著者の本に対する姿勢?が書評の間に垣間見えてなかなか味があります。「レイブ」だの「トランス」だのたまに出てくる単語がなかったらとてもミュージシャンの書いた書評だとは思わないでしょう。
確かに取り上げる本には「読んでみたい!」と思わせるものが少ないですが、それはそれでOK。
ここで書かれる日本語とビブラストーンでの過激な歌詞とのギャップがこれまた面白いです。
1stソロアルバム。歌謡曲風の歌メロとロック/フュージョン/テクノポップ風のアレンジによる、歌謡ロック的なポップ・アルバム。近田春夫&ハルヲフォン名義の「電撃的東京」(1978年)は歌謡曲のカヴァー集だったがこれはオリジナル曲を収録。作曲は近田春夫・筒美京平・加瀬邦彦他。作詞は近田春夫・楳図かずお(漫画家)他。イエロー・マジック・オーケストラが4曲の編曲と演奏に参加。2ndシングル「エレクトリック・ラブ・ストーリー」収録。CDは
ボーナス・トラックとして3rdシングル「ああ、レディハリケーン」のA/B両面曲を追加収録
「オールナイトニッポン」の2部-平日深夜3時~。近年、呼称や形は違っていたようだが-が終わる、というニュースがきこえてきて、かつては“ここ”からいろいろなことが始まっていたのに、もうそんな時代も終わったんだな……、なんて、淋しさを覚えたりもしたもんだが。近田さんは(他局でもいろいろやってたが)このワクでDJを務めたひとりで、2時間、とにかく歌謡曲ばかり、速射砲のようなトークにのせてかけまくっていた。ピンク・レディーのアメリカ第1弾シングルに予定されていた曲をかける、と言っといて、イントロの一瞬だけでやめて都はるみの「好きになった人」をかけちゃう(!)、みたいなデタラメぶり。とにかく参ってしまって、ノイズ混じりの中、田舎に住んでたオレは必死に聴き続けたもんだった。『明星』(現『Myojo』)付録の歌本に載ってた新曲のレビューも忘れられないが、この本は78~84年、『POPEYE』で連載していたコラム「THE歌謡曲」を完全収録(音声解説的座談会つき)、加えて旧版『気分は歌謡曲』に載っていた、それ以外の文も多く収録したもの。中でもキャンディーズの本質、そして、その解散コンサートの終盤に存在した“演出”についての言及には、オレもキャンディーズを愛したひとりではあるが、少なからずゾッとさせられた。まぁ、それはそれとして、今日では普通になりつつある(?)「この曲、気持ち悪くて最高!」とか「あの映画、とにかくヒドいから観て!」みたいな言い方・すすめ方の、近田さんは始祖であるといっても大げさではない、ということが、この本を読むと実感できるんじゃないでしょうか?(と、露骨にこの当時の近田さんっぽいシメ方で終わります…)