原作も大好きなこの作品。 でも、この映像作品は原作を忠実に表現しつつ、原作とはひと味もふた味もちがった完成度の高さをみせています。
キャストの魅力を最大限に引き出し、マンガの中のお伽噺をお洒落に実写化している力量は脱帽もの。 制作者の原作への愛情と、作品そのものへの愛情が見ている側に気持ちよく伝わってきます。 コメディーとか、ドラマの中の笑いの要素って、大抵が期待はずれで「滑っていることを楽しもう」的な 見る側の諦める姿勢も出来ている昨今、この作品に関しては、かなりぶっ飛んだ領域に突っ込んで行っているものの、 不思議な程、全くばずしていないのが率直な感想。これまた脱帽です。
また、この作品の大きな魅力のひとつが、フレッシュなキャストの顔ぶれ。 見飽きた感漂いまくるキャストが横行しているここのところのドラマ作品の中で、 なんとも嬉しい発見なフレッシュなキャストが、その力をいかんなく発揮しています。 また、KAT-TUNの中丸くんも、私は決してファンではなかったのですが、この作品の彼は、最高! こんな魅力的なお芝居ができるのかっ!という発見だけでもこのDVDを買って損したとは思わないはず。 初主演の菜々緒さんを始め、草刈麻有さん、加藤諒さん、我が家の坪倉さんも、もっとドラマに出ればいいのにっ! 劇場では何度も拝見している高泉淳子さん、お洒落映画系の渋川清彦さん、実はお芝居がすっごく上手い風間トオルさん、 私の大好きなクイーンエメラルダスの声優をつとめた(それだけじゃないですけど)田島令子さん……、ベテラン陣も 半端ない存在感をアピールしつつ、新たな魅力でドラマを盛り上げています。 中でも安達祐実さんが、ホント、すごいっ! 彼女の長い芸歴の中で、こんな素晴らしい表現者としての安達さんを見たことがないっ! 圧巻です。とにかくひとりでも多くの方に、あのはつらつとした切れのいい芝居を見てもらいたい!
……と、制作者の思うツボな感じではまっている自分。 向島を中心とした東京の下町の風景とあいまって、何か古典の香りもする今作、 ここ最近のドラマ作品の中では、隠れた名作だと思います。
サントラ、主題歌も大のお気に入りで既に購入済み。 とにかく、全力で褒めたい今作に出会えて、なんか得した気がします!
ひとつだけ何か要望があると言えば、Blue-Rayも出して!
漫画が好きという一貫した思いがあるというのが最大だけれど、作者はとかく周りの人達に愛されている。絵があるから勉強できなくても明るいし、高校は進学校でセンター試験も執念のミラクルで高得点、浪人がうじゃうじゃいる国立美大に現役入学。中身はハチャメチャなのに経歴は一流。今は漫画家としても一流。日高先生に引っ張られるのもあるけど、大学時代を除いては、ひたすら絵を描く日々。サボってない、絵に関しては真摯。 絵画教室も、会社勤めも、嫌なら辞めれたけど辞めない。明るくて、苦労も笑いにする客観性と、持久力が、作者の強みと愛される所以なのかと思う。自己愛を育てる環境に恵まれているのが羨ましい。そして、嫌味がないから読んでいると前向きになれる。
東村さんは青年ものに来てから読み始めましたので、切れの良いギャグ漫画家という印象でした。興味本位で入手したのですが、作者の根底にある青春期の思いが鮮烈に表現されていて素晴らしい作品だと思います。理想と現実、田舎と都会、恋愛と生活の狭間で揺れ動きながら、しかし成長している作者を見つめることができます。 展開的にそろそろクライマックスですが、見たような見たくないような、そんな気分にさせられます。
|