ロッキード事件に関わった4人の故人に焦点を当てた本。
運転手から俳優、会社社長まで立場は様々だが、敗戦から
経済成長の中を生きたそれぞれの人生を浮き彫りにする。
ネットの無かった時代に、わずかな資料を手がかりに足跡を追い、
関係者に取材し、叙述していく筆致はお見事。
世界各地の実体経済、突き詰めれば地球の実体経済をけん引していく力の源泉とは何であろうか。
本書ではズバリ、軍産複合体(この言葉も死語となりつつある、今では航空宇宙産業複合体)と指摘する。しかもその背景に、死の商人の系譜としてのユダヤ人ネットワークの存在が大きく関わっていると認識できるような示唆を行っている。考えてみれば日露戦争における戦費調達も、クーン・ロエブ商会のジェイコブ・シフ(明治天皇より最高勲章の勲一等旭日大綬章を贈られた)を中心としたユダヤ人ネットワークによって実現できたのだから、われわれ日本人にとっては納得のゆく話ではある。
この本に書かれている内容は、どれもが鋭い指摘だし、歴史的事件とも完全に符合している。
ロッキード事件も、贈賄側の立場からの内実が書かれていて面白いし、イラク攻撃の隠された背景や、なぜ今日話題のオスプレイが日本に強引に導入されたかの背景も良く理解できる。こうした世界権力支配の内幕をあつかった本書は、おそらく文芸春秋社などでは過去の出版事件の経緯から絶対に出せなかったろうし、出版社トップの
講談社でさえも無理だったのではあるまいか。草思社がどんな会社かわからないが、怖いもの知らずと云うか、よくぞこうした男気のある本を出版したものだ。また玉木悟氏の翻訳が大変素晴らしく、本書の価値を高めている。
詳しい内容は実際に読んでもらうとしても、
火星探査のマーズ・グローバル・サーベイヤー、フェニックス探査機、スピリット・オポチュニティの探査車、マーズ・オデッセイ探査機など、すべて
ロッキード・マーティン社が制作したというくだりではさすがに驚いた。
いったい彼らはどこに行こうとしているのであろうか。本書の最後に著者は、
ロッキード・マーティン社こそが、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に登場する姿の見えない絶対世界支配者゜ビック・ブラザー゜になるであろうと示唆する。
こうした良書も世間的には評判になることもなく、いずれ人知れず絶版になっていくと思うとさみしい気がするのである。
衆院議長秘書であった著者が当時書き残した膨大なメモをもとに、
30年後の今だから書ける新事実も含め、
ロッキード事件発生時の国会の舞台裏を書き上げた作品。
与野党の攻防と衆院議長の思惑のはざまで、
ロッキード事件に翻弄される国会を議長秘書の視点で克明に再検証している。
内容は三木首相、中曽根幹事長、前尾議長を中心とするもので、
田中角栄に関する記事はあまり多くない。
事件そのものより当時の国会に焦点を当てて書かれているが、
国会運営に携わる人間の考え方や新事実の公表など、
興味深い内容が多く読み応えのある一冊であった。