深川を中心に剣客商売にでくる場所を江戸切り絵図を見ながら散策するDVDです。切り絵図だけでは何と読んでいいか分からない地名が多いのですが、これはDVDですのでそのようなストレスを感じること無しに剣客商売の時代に思いをはせることができます。なんと言っても、秋山小兵衛、大治郎親子、そして小兵衛の妻おはるになんともいえない味があっていいですね。
藤田まことさんの遺作としては、これが一番気にいっています。大二郎は渡辺篤郎さんがよかったですね。おはるはもちろん小林綾子さん。おしんに出演していた彼女が、後にこれに出演するとは想像もしていませんでしたが、農家出身のかわいいお嫁さん役をみごとに演じましたね。原作は池波正太郎氏です。彼の作品の中では、この剣客商売と藤枝梅安がお気に入りです。このDVDで、剣客商売由来の地を巡ることができ、幸せな気持ちになりました。
この「語り芝居」シリーズ、全巻そろえました。母の大のお気に入りで、毎日暗記するほど聞いています。どこがそんなにいいのかきいてみると、「映像が浮かんでくるような語りがいい」「江戸時代の習慣や時間の呼び方などが、なるほど!とよくわかってうれしい」とのこと。作者の池波さんは食通で知られていますが、物語に登場する食文化もまた魅力的で、『土蜘蛛の金五郎』に出てくるイモとネギの煮物をつくってみたそうです。江戸時代にどっぷりつかっている母、視力が落ちてきたこともあり、こういうオーディオブックで名作を楽しめるのが何より、とか。読書とはひと味ちがった醍醐味がありますね!
自分はまだ20歳です。若い人は「時代劇は古臭い」と嫌煙しがちですが、そんな人にはぜひ、読んでほしいです。どんなケータイ小説にもライトノベルにもだせない味わいが「鬼平」にはあります。僕はこれを読んで「時代劇はこんなにおもしろかったのか」と驚きました。現代には無くなってしまった人情。そして人生の切なさも、全てが詰まっています。