P.K.ディック、
スピルバーグ、トム・クルーズ、ドリームワークスSKG、という豪華ラインナップがよい方向に回って、小綺麗にまとまったノンストップ系
ハリウッド的SF映画の良作。
ちょっとレトロだけど(原作古いので)今風にアレンジされた未来社会を舞台に、まさに息つく暇もなく、字幕を読むのもはばかられる程のスピードで物語は展開し、飽きさせず次が見えない展開がサスペンスフルに楽しめます。
キツめのディック原作が
スピルバーグで程よく薄められ、ちょっとかわいそうなぐらいいじめつけられるけど負けないトム・クルーズ、SW episodeI-IIやハリポより一世代進んだ感のある美しく無理のないCG。
登場する数々の小物や、画面の端で起きている細かい出来事、込み入った謎解きのストーリー、美しい映像/CGをとことん楽しむには2回3回と見る必要があるかも知れません。しかし、そういう細かいディティールがこの映画の魅力の一つだと思うので、ぜひDVDで心ゆくまでご覧になってみてください。
難点は、笑えないユーモアセンスとちょっと痛すぎるグロテスクなシーンが数カ所ある点ですが、まぁその点は目をつむれる範囲です。
西暦2054年、ワシントンDC。政府は凶悪犯罪を防ぐために、"プリコグ"と呼ばれる3人の予知能力者に未来に起こる犯罪を予言させ、実際に事件が起きる前に犯人となる人物を逮捕させていた。その犯罪予防局のチーフ、アンダートンは、「犯罪未遂現行犯」の逮捕の指揮をとっている。しかし、ある日事件を察知する機械の結果をみた彼は愕然とする。何とアンダートン自身が36時間以内に見ず知らずの他人を殺害すると予知された。一転して同僚達から追われる立場になった彼は、自らの容疑を晴らそうと奔走する。・・・
青と白、グレーが基調の映像が近未来の雰囲気にぴったりで、のっけから見入ってしまいました。網膜センサーや話しかけてくる広告など、技術が発展した近未来社会も、何だかそのうちに現実になりそうなリ
アリティがあって驚きました。「事件が起きない社会」と聞けばホッとするけれど、本当にそう言える?という面白い視点から事件が語られています。犯罪予防局の第一線に立って犯罪未遂の犯人を逮捕してきたアンダートンが、自分の行ってきた治安システムを見直す、というのも見応えがあります。ただ、ハラハラさせるサスペンスに家族愛を織り込もうとしていて、かえって冗長になっているのが残念なところ。