ハワイの日系1世、山波公作(
笠智衆)と妻ミサ(加藤治子)の1910年から1983年までの戦争を挟んだ日系移民の苦悩をテーマにした、倉本聰 脚本、実相寺昭雄 演出(!)による2時間ドラマのサウンドトラック盤のCD化。岩城宏之:指揮、東京コンサーツによる15曲、33分の美しいメロディに溢れた「音楽」です。1曲目の
タイトル曲からあまりの美しい主題に圧倒されます。15曲の内、6、7、11曲目は、戦争の悲劇を表すため、異なる印象を受けますが、4曲目の「ミサと美沙」に現れる(ミサのテーマ)とのふたつの主題とその変奏曲により構成され、各楽器が次々に主題を受け渡すのだが、それが全く違和感無く全曲聴き通してしまう。このCD、実は、テレビ用録音の別テイクを収録しており、実際の放送では、映像に合わせるため、テープ編集されたものが使用された。指揮者:岩城氏によると、録音時に泣いてしまったそうで、他の人の音楽では、まずなかった、と2004年小学館発行の「武満徹全集 第5巻」で述べています。その全集は、この録音全曲はもとより、他のテレビ・ラジオ作品等CD14枚と450ページの解説、特筆すべきは、2004年に発見された17才の時の処女作「二つのメロディ」やジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」のために録音したが、監督が音楽の強さ(美しさ)に画が負けるから、という理由でお蔵入りしたテープ録音全曲などを含んでおり、単売していない美しい武満音楽が堪能できます。このCD10枚分の価格ですが、ファンなら、お勧めです。なお、1996年に6曲の組曲版に編曲しており、シャンドスから尾高忠明・札幌交響楽団の録音が入手できます。
デザインは申し分ないのですが、骨の数が少ない(骨に対して紙の幅が大きい)ので、たたみにくさという難が残ります。せっかくここまで生地も厚くして色もデザインもいいのですから、もう少し値段高くてもいいからたたみやすいものにしてほしかったです。頻繁に買うものではないので。
CDでこれだけ膨大な武満作品を揃えようとすると、かなり大変であるが、この全集は、よくある全集のように、古い録音の再発ではなく、CD12枚に、有名な曲は、比較的最近の録音を採用し、そうでないものも、極力探し抜いて、放送局に有ったテープからCD化されている。このような曲は、今後も1枚ものCDに収められないと思う。また、CDよりも分厚い解説書が素晴らしい!楽譜の一部が載っていたり、武満本人の当時の談話がおさめられていたり、この解説書だけでも貴重なマニュアルとなっている。コストパフォーマンスでも、真面目な音楽ファンにお勧めです。
◆ 子どものために、家族のために ◆
先日、この映画が撮影されたときに撮影隊の本部?となったマウイ島のラハイナ浄土院に遊びに行きました。
日系移民2世の方々のサトウキビプランテーション時代の思い出話や、あまり知らされていない実話(体験談)をお伺いしたあとだったので、大変興味深く、この映画を拝見しました。
当時の
ハワイの日本人移民は1886年から1926年にかけて、22万人。 山口、広島、岡山からの移民が多かったそうです。
ラハイナ浄土院の門徒でもある82才の日系移民2世の方のお話しが、いちばん胸を打ちました。それは、今、私たちが見ている海とプランテーション時代の労働者が見た海を見る気持ちの違いでした。
当時の労働者たちは、高台にあるサトウキビ畑から海を見下ろし、「この海の向こうに日本がある。頑張って稼いで、かならず、故郷で待っている子どもたちや家族に、お腹いっぱいになるまでご飯をたべさせてあげたい」と思ったそうです。
彼らが苦しいサトウキビ畑での労働に耐えてこれたのは、「子どものために、家族のために」という思いと、そして、「おかげさまで」という労働機会を得たこと、さらに、家族を愛してる気持ちを心から感じることができたことに感謝したそうです。
胸が熱くなり、涙が溢れてくる感動のストーリーです。どうぞ、ぜひ、ご覧になってみて下さい。
かならず、「観てよかった」と心から満たされると思います。