発売後まもなく購入しました。『新日本紀行』テーマ曲はもちろんのこと、『勝海舟』、『文吾捕物絵図』、『蒼き狼の伝説』、『学校』、『二つの橋』、『青い地球は誰のもの』。私が小学生から中学生の時代に聴いた曲の多くが収録されており、とても嬉しいです。
演奏も、ややエコーが効きすぎかなと思うこともありますが、アレンジもよく、とても感動し、癒されます。こういうアルバムに出会えたことが幸せだと感じます。
小さいときから
ジャングル大帝大好きでした。そのおかげで動物好きになったと言っても過言ではありません。この作品の中には、「絶対的に悪い奴」はいません。善と悪、その両方をもっているのが生き物というものなのだ、という風に登場人物が出てきます。アンネ・フランクが、日記の中で「どんなに嫌なことばかりでも、私はこう信じています。人間の本当の心はやはり善なのだということを」(こんなんでしたっけ?)と書いているのを思い出します。本当にすばらしい作品だと思います。
評価が見事に二分する理由が分かった。
このアルバムはCD+DVDという、これまで(そしてこれ以降も)
SACDやDVDオーディオなどの高音質なメディアでリリースしてきた
冨田氏としてはかなり異色なフォーマットである。
さらには、CDには他のレビューにもある通り、純粋に音楽を楽しみたい
ファンにとっては残念な、ナレーションが入ってしまっている。
そのことからして、ターゲット層は旧来の冨田ファンではないことが
窺い知れる。
一方、DVDの方はというと、静止画が表示され、字幕やナレーションを
入れられることから、紙芝居の様な楽しみ方が出来るし、
ナレーションを消して音楽だけを聴くことも出来る。
多様な楽しみ方を用意することで、万人向け(ただし、リスナー個々に
自分なりの楽しみ方を発見するような能動性があるかは疑問が残るが)
を狙ったようにも思える。
つまり、企画そのものが旧来のファンが望むような方向性ではないのだ。
事実、私自身もそうだった。何故SACDでないのか?何故ナレーションを
音楽にかぶせたのか?何故新しく演奏を録音し直す必要があったのか?
一聴にして、次々と疑問符が浮かんできた。
きっと、私以外にも同じ疑問を持った方々は少なくないのではないか。
結論を言うと、旧来のファンにとって、このアルバムが過去の音源を上回るものに
思えないのは、つまりは我々の層に向けて作られたものではないからだろう。
私はこの作品の位置づけを、冨田勲そして手塚治虫の「
ジャングル大帝」の世界を
音楽を通じて親から子、祖父母から孫へと、伝えるためのコミュニケーション
ツールであると割り切ることにした。
すると途端に、このアルバムは希少価値の高い、魅力ある一枚に思えてきた。
私は一般と比すれば多少はオーディオ愛好家の部類に入ると思うが、
私の宝物も孫たちにとっては当然オブジェにしか過ぎない訳で、
それがこの遊び心満載に作られた交響詩
ジャングル大帝の音楽を聴かせると、
活き活きと飛び回る楽器の音色を目で追いながら、興奮気味に聴き入っている。
そのうちに、
ジャングル大帝のキャラクターや物語に興味を持ち始めたのか、
音の動きとともにきょろきょろ動かしていた視線を画面のイラスト一点に
集中させるのだ。
音楽を通じて、孫たちのこのような姿を見られたことに対して、
驚きと感謝を込めて五つ星の評価をさせていただく。
このアルバムを聴いてガッカリしてしまった愛好家の方々は、
是非子供たち、孫たちにも聴かせてみて欲しい。
高い評価をされているのはきっと、家族で楽しむという目的で
購入された方々なのではないかと私なりに想像してみている。