ミック・フリートウッドのアフリカ趣味に
準じた「ブワナ」で幕を開ける本作。

ヒット曲「トラブル」が顕著に示すように、
マックでは表現しきれなかった、
リンジーのニューウェーブ志向・宅録志向が
炸裂する好盤です。

リンジーは元々、お金持ちの出身で、
音楽で売れようが売れまいがどうでもいい、
自分のやりたい事やれてればそれでいい、
という人で、
相方だったスティービー・ニックスとは
正反対の感性の持ち主です。

そんな彼が、「噂」と「タスク」のヒットで
やりたい放題させてもらった、茶目っ気たっぷりの
アルバムです。

同時期のマックで言えば「ホールド・ミー」が
まるでそっくりな世界です。

次の「ゴー・インセイン」から売る、
という要求を足かせとしてはめられる前の、
リンジーの趣味・嗜好性丸出しの
小さな傑作です。

Fleetwood Macの、いわゆる「黄金期」のメンバーとして名高いLindseyだが、このアルバムは、彼の良い側面ばかりを集めた最高傑作といってよい。前の二作品と比べると、まさに大人のロックである。子供には理解できないだろう。アルバムとしては、非の打ち所のないアルバムといってよい。欠点をあげるとすれば、シングルカット向きの曲が思い付かないことくらいか。しかし、そのようなことはこのアルバムの完成度を考慮すれば、消し飛んでしまう。Must Haveアルバムである。