貧しい暮らしの中でも、我慢強く愛情深い少年ルミ。厳しいが優れた教師だった親方。賢い忠実な
犬、友人。魅力的な話である。
長らく手に入りづらかったこの作品の発売を待ち望んでいました。同じ出崎統監督の
宝島と並ぶ大好きな作品です。
ビタリス一座の仲間との旅の始まり、白鳥号での幸せな日々、マチヤとの出会い、アキャン家の人々との交流…レミは旅の途中、数々の出会いと別れを繰り返しますが、一回限りのゲストキャラクターであっても例外なく皆生き生きと描かれ、素晴らしい声優陣の熱演も相まって、全く中だるみを感じさせない(これは人それぞれ感じ方が違う部分もあるかもしれませんが…)作品です。ビタリス一座のカピ、ドルチェ、ゼルビーノそしてジョリクールらの動物であっても可愛らしく、人間的になり過ぎない程度にしっかり性格分けされていて、素直に物語に入り込めます。
最後まで見終わって再度オープニングを見ると、オープニングに序盤から終盤に至るまでの主要キャラクターが全て登場していて、行き当たりばったりではなく放送開始からしっかり準備して物語の構成を考えていたんだなぁと感じます(当たり前かもしれませんが…)。
劇中に登場する実在の街の描写は美しく丁寧で、ロケハンなどの準備もしっかりしたのだろうと思わせます。同じ出崎監督の作品であり、同じく
フランスを舞台としているベルサイユのバラを見てからこちらを見ると、ベルばらの約100年後の
パリはこうなったのか…などと思いながら楽しむことも出来ると思います。
立体アニメとのことですが、専用のメガネはなくても違和感無く普通に鑑賞できます。背景を3重にも4重にも重ねて別々に動かしていたり、大胆で美しい色彩を見ると、本当に丁寧に作られた作品なんだなあと感じます。