TV放送を開始した頃、私は小学生で、このアニメがチンプンカンプンだった。
そのまま放置して、ちょうど1年ほど前友達の勧めもあって見直すことになった。
これが面白い面白い!
特に黒
薔薇編から抜け出せないほどはまってしまった。
このウテナという作品だけど、青春の悩みが全て放り込まれているのではないだろうか。
勘違い、片思い、憧れ、同性愛、傲慢、嫉妬
小学生じゃ分からないわけだ。深すぎる(笑)
黒
薔薇編に関してはまた、別のところにも注目して欲しい。それは脇役達が主役に引っ張りあげられたこと。
彼らは視聴者に、どんな脇役でも主役のように感情があり、悩みがあることを訴えかける。
彼らの慟哭は何か響くものがあるんじゃないかな。
と、ここまでレビューを書いてきたが、もちろんこんなものでは足りない要素がたくさんある。ぜひ自分の目で見て、気高さとは何か自分なりの答えを出してほしい。
残酷な時の流れに作品が抗えるか、単なる娯楽作品であったかは改めて時間を置いて同じ作品を冷静に見返したときに真贋がわかる。例えば「映像」技術だけならば日進月歩の技術の進歩の前にどうしても陳腐化するであろうし、視聴者に媚びただけの直情的なテーマ(恋愛や格闘、、、)では同種の作品の山に埋もれてしまうだろう。その意味でウテナは少なくとも私にとって10年後に見てなお新しい驚きと感動を与えてくれた。この作品で私は作画でも脚本でもない、徹底的な計算と不条理を極めた演出表現の果てに見える世界というものに魅せられ、そして今もこうしてDVDBOXを上下で買い直してしまうほどに囚われ続けている。
この作品の主テーマが「永遠」であったことを考えるとあまりにも出来過ぎた話なのかもしれないが、自らのアドレッセンスにこの作品に直撃したことはまさに価値観、美意識、嗜好もろもろにおいて「革命」を起こされた。
こうして音楽や映像がブラッシュアップされたこの機会に、エヴァ・ナデシコ・ウテナというスタチャ三部作としてアニメ全盛期の古典作品として名前だけ知っていたような方に手にとっていただければと思う(これらの作品が18時台に放映されていたとは今となっては到底信じられません)。一人でも多く「世界の果て」に直面されんことを願います。