かつてこれほどまでに美しく、かつショッキングな映像体験があったでしょうか。物語性はありません。しかし怪物のように不気味にそびえる館と生気が抜けた彼岸のように横たわる庭園をめぐりめぐっていくうち、物語の中心人物たる男女の関係はおろか人間の意識の曖昧さがあからさまに露呈していくさまは圧巻。
登場人物の立ち位置から動きまでが完璧に計算しつくされた画面構成は見事というほかはありません。また背景、借景の使い方といったら、かつて見たことの無いモノクロ映像究極の様相を呈しているといっても差し支えないほど鮮烈で優美。難解すぎるプロットからしてもアラン・レネ監督が商業用フィルムをまったく意識しなかったことが伝わってきて、そこがまた痛快。
たとえ難解であっても映像芸術としてはパーフェクトに近い、これは人間思考の複雑な独自性と際立つ映像美に酔いしれるヨーロッパ映画の逸品。
約50年前に流行った
フランスの「新しい波」と言われた映画。
非現実的な映像とストーリーは観る人の関心をかき立てる。
モノクロの映像が大変美しい。