SFにはまったのは、半村良氏の「妖星伝」からだったような気がする。 その後、氏の伝奇小説を読み倒し、その周辺にも食指を伸ばしていった。 なかでも、光瀬龍氏の「百億の昼と千億の夜」は秀逸だったなぁ。
山田正紀氏の「神狩り」もそのひとつで、荒削りながらも、正統派SFと伝奇性を組み合わせた、当時では「せんすおぶわんだー」だった記憶がある。 これも既に数年前の出版にはなるが、今更ながら「神狩り2」を読むにあたり、もう一度、本書を読み返すこととなった。 さすがに、四半世紀前の内容には、古臭さを感じることもあったが、内容的には、当時の興奮を思い出させてもらえるものであった。 うん、名作は時を超越するものです!
現代のSFも確かに面白いが、なにか飛びぬけたものを感じさせてくれるものがないような気がする(勉強不足なだけかな)。
しばらく、氏の著作を一通り読み直してみようかな、と感じさせてくれた本書であった。
主人公の権堂はワンマンで人でなし、という設定なのですが、言動は普通に良識のある人で、 素直に主人公に共感出来ます。 そして、ハイジャック犯の謎の行動、山田正紀の伝統的な謎なヒロイン、 サイボイドの目的、聖人を思わせる謎の男、等々が絡み合って最後に怒濤の結末が。
ただの小道具と思われた蠍が結末において物語を統合する新しいシンボルとして機能する所が 素晴らしいのです。 あまり上手い説明ではないですが、この物語の蠍は最後に梶井基次郎の「檸檬」の様な働きをするのです!
昭和初期を舞台に、放浪する二人の若者が殺人事件に遭遇、または関与するストーリー。 時代を跨って描かれているため、短編をこま切れで読むとちょっと時代がわからなくなることがあった。 内容は絶賛するほどではないが、つまらなくもないといった印象。
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