冠詞の使い方に関する本は山のようにあるが、たいてい役にたたない。本書はどうであろうか。本書は下記の3つの基本ルール+ α(
アルファ)を設定して、
1. 無冠詞は「物事を全般的に表す」
2. a は「どれか一つを取り上げる」
3. the は「特定できるものを指す」
192問の問題を解くことによって、読者はこの3つルールを帰納的にマスターして、冠詞の選択に迷わなくなるというのが本書の趣旨である。たとえば、
彼女が身につけていたスカーフは手製で上品なデザインでした
( 1 ) scarf she wore was made by ( 2 ) hand and it had ( 3 ) elegant design.
だと、上の基本ルールから(1) The, (2) 無冠詞 (3) an ということは推測できるが、
夕食はもうできた?
Is ( ) dinner ready yet?
だと夕食を全般的に言っているのではなく、特定の家庭の特定の日の夕食であるから、Is the dinner ready yet ? のような気がするが、「食事名には冠詞は付きません」とあっさり片付けている。結局+ α すなわち個々の名詞の意味やコロケーションとの関連で冠詞の選択を考えなければならないということで、冠詞の選択は基本ルールより+ α に依存する度合いが高いことがわかる。看板にやや偽り有りだが、192問に挑戦すれば基本ルールと+ αが身に付き、基本的な冠詞の使い分けができるようになるのは確かなので星5つとした。冠詞に関心のある方、冠詞に悩まされている方に一読をお薦めする。