タッチという日本漫画史に残る傑作、金字塔の存在は多くの読者の中に「完成された作品」として残っています。その続編を書く事で期待と不安が入り交じる作品ですが、今のところ過去作と比べると駄作という印象(期待値が高いので、相対的に、ということになりますが)。主人公の書き分けや、サブキャラクターの性格などはお約束な点もあって許せるのですが、展開が余りに一辺倒すぎます。他のあだち作品と酷似し、パターンとしてお決まりだから仕方ないという評価もできますが、現在連載されている他の作品と比べるとやはり不満は残ります。何より彼らの台詞や行為が作為的すぎて浮いているように感じられる。
こんな奴いないだとか、こんなこと言わないなんて批判は野暮だと理解しているですが、「
タッチ」という傑作の延長にこの作品があるということを考えると少し残念。キャラクターのある部分においてはあまりにも人間らしいのに、ある部分においては非常に機械的に感じられる。それが魅力として読めないのは僕個人の趣向によるところかもしれませんが、感情の変遷がぶつりと断絶されて読みにくいという点で評価できませんでした。
本作では三兄弟の物語を主軸に、達也と南の存在が一つのキーポイントになると思いますが、そこまで読み続ける事ができるか不安です。独立したものとして楽しめればそれは良かったのですが、「
タッチ」の存在が大きすぎるためか作品の強度の弱さが目立ちます。あるいは、南がキャラクター、理想の女性像として完成されすぎていたその反動かもしれませんが。
アニメ版「
ナイン」と、アニメ版「
タッチ」は、
同じ
スタッフが制作した作品なのに、
かたやVHSビデオ止まり、かたやBD−BOX発売予定…!
なぜこのような差が発生するのでしょうか?
理解に苦しみます。