前巻より懲罰使役を科せられている主人公キズ(マタギ)。
古株の囚人達が恐れる生還率が極めて低い地下の「極穴基底」作業場に異動したが、そこでは帝国成立・存続の根幹を成す驚くべき秘儀が行われていた…。
加藤伸吉氏による象と亀の甲羅の上に宇宙があると信じられている世界で描かれたが如き異形の作品です。
後半描かれる地下は仮想であった舞台となる惑星スタコラの地に現世地球を思わすイメージが投入され、よりメタフィクショナルな雰囲気になっています。
とても土くさい様でいてスタイリッシュな加藤伸吉氏の絵と奇想に酔う作品です。
好みが分かれる作品だとは思いますが、スチーム・パンクや中世西欧の版画や
フランスのバンドシネがお好きな方は是非一度お試し下さい。
この巻も連載中のカラー頁を再現し、紐栞が付いた豪華な仕様となっています。
読み手を選ぶ作家かもしれないけど、やはり昔から天才肌ですねえ。
「乱慢」ほどではないにせよ、
読者にコビもせず、好きなものを描いている様子を見ると、
あの「国民クイズ」でさえ、ちょっとは読者にコビてたのかな…と思えるほど。
うげげ人生も読めたし(それにしてもここまでヒサンな話だったんだね…)、
表紙ウラ(?と言えばいいのか?)の
火の鳥のイラストも素晴らしかったし、
カバーイラストもステキだし、とっても満足な1冊でした!