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 傑出して完成度の高いファーストアルバムを生み出してしまったが故に、その後は、行き場を失って解散に至ったバンドです。
 バンド解散後、10年以上を経て、過去の1stアルバムがバージョンアップして再販されるあたりに、バンド自体が、本来的に持っていた市場価値が、よく表れています。
 
 繊細な精神性と緻密な音楽的ロジックの極みを持ってアルバムを作っておきながら、剥き出しの感情論を全身から吐き出すかのようにライブ演奏をする…、そんな不思議なバンドが、世紀末の英国には、確かに存在した、その忘備録のようなアルバムです。
 
 その音楽性は、まるで思春期のように無垢で儚い響きであるが故に、私は、いつまでもマンサンが忘れられないのでしょう(笑)
 
 
   
 ファンの間で断然人気のSIXの陰に隠れて、他のアルバムはやや影が薄いように思いますが、彼らのニューウェイブ/ニューロマ的な側面に惚れ込んでいる自分としてはこちらのアルバムとリトル・キックスの方が好みです。The Chad Who Loved Meの壮麗なイントロからのギターノイズ、Taxlossの後半のダンサブルなシンセポップへの変容、Wide Open Spaceのギターのダイナミクス、Stripper Vicarの奇妙なポップネス、Dark Mavisのアウトロ部分を1曲目のイントロに繋げるetc...様々な表情を見せる音響で、まるで一本の映画を観ているかのような心地にさせてくれます(彼らのどのアルバムにも言えることですが)。壮大なストリングスと陰影に満ちたエレクトロニクスの絶妙な融合…まさにブリットポップ期のフィナーレを告げるにふさわしい、万華鏡のような豪華絢爛なサウンドを聴かせてくれます。本作でいきなり全英1位を獲得し「Definitely Maybe以来のベストデビューアルバム」と称された彼らは、次作でその成功をかなぐり捨てるかのような突然変異とでも言うべき2ndアルバム『SIX』を作り上げ、リスナーを混沌と興奮に巻き込んだわけですね。なんとも天の邪鬼なバンドだったと思います。 
 
   
 当時高校生だった自分は、洋楽をカッコで聴いていた訳で、NOWとかを聞いては「この曲は誰々ので・・・」とかやっていたわけです。
 
 そんな中、Mansunの「Legacy」が収録されたNOWに出会いました。
 その頃Oasisが好きだった自分ですが、この「Legacy」に心惹かれるものがあり、
 もっと聞きたいと購入したのが、この「SIX」でした。
 
 ひょんな事から思い出して、久しぶりに聞いてみたくなって、部屋中探して・・・
 15年ぶりに聞いた曲たちは、決して色褪せる事なく、
 当時の記憶以上に鮮明に響く美しい旋律でした。
 15年近く聴かなかった間に処分しなくて良かった!
 
 そして何より感じた事!
 他の方々がレビューしている内容が、驚くほどどれも的を射ています!
 素晴らしい人たちにレビューされて、この作品は幸せでしょう。
 レビューを読めば、この「SIX」がどういった作品なのか、よーく分かります。
 
 自分は特にMansunに詳しくありませんので、
 ギターが誰とか、ボーカルが誰とかすら知りません。
 しかし、エフェクトかけまくりのギター、ネガティブでナイーブなボーカルに加え、
 変速的でころころ変わる曲調、うねうねした構成、みーんなよーく分かってレビューしてらっしゃる!!
 自分も最初は苦痛でしたけど、この曲たちは一曲として無駄な曲がなく、
 CD全部聴き終わると、まるで映画を一本見終わったかのような感覚をもたらしてくれます。
 
 「名作だなぁ・・・」っていうアルバムを皆さんお持ちでしょう。
 個人的にはOasisのMorning GloryやBe Here Nowとか、Paul GilbertのAlligator Farm等々ですが、
 この「SIX」は間違いなく名作の一つになっています。
 
 Legacyは本当に好きな曲です。
 和訳された歌詞カード見ないと、意味なんて分かりません。
 (洋楽の歌詞なんて、よく分かんないものが多い気がするし・・・)
 しかし、メロディは歌詞の意味なんて超越した美しさです!
 
 そんな「Legacy」からの「Being a Girl」・・・
 4:50を過ぎると、まるで夜の高速を飛ばしたくなるようなノリで、
 ちっぽけな悩みなんぞ遥か後方に置き去りに出来ちゃいます。
 
 大昔の作品ですけど、
 もっと知って欲しい!聴いて欲しい!評価されて欲しい!って、
 15年前の自分と変わらない自分が、今、そう思ってレビューしています。是非!!
 
 
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