林 光の「裸の島」のテーマによるパラフレーズの、悲しみがこんこんと湧き上がってくるような哀切を帯びた深い調べ。宮澤賢治が童話「双子の星」(チュンセ童子とポウセ童子という双子のお星さまの物語)にこと寄せて作曲した「星めぐりの歌」、ゆったり、ゆっくりと奏でられてゆく慈しみと愛に満ちた調べ。14の小品を収めたこのアルバムの中では、まず、このおしまいの二曲に惹かれました。
住江一郎さんのピアノの演奏も魅力的な四曲、パット・メセニーの「レター・フロム・ホーム」、ハチャトゥリアンの「“
仮面舞踏会”〜ノクチュルヌ」、ブルース・ブルートンの「老人と海」(ヘミングウェイの小説の、1989年にアメリカで制作されたテレビ映画のための音楽)、エンヤの「ウォーターマーク」もいいですね。
あとは、そう、ジョルジュ・ドルリューの「イルカの日」の音楽もよかった。マイク・ニコルズ監督の1973年の映画に付けられた音楽なんですね。これ、曲の半ばからはじまるヴィヴァルディのコンチェルトを思わせるメロディー、溌剌としたその音楽の調べがとっても素敵。心はずみました。
チェロの素敵な歌があり、音楽の素晴らしいメッセージが心に届く小品集。『
風-Winds~ナウシカの思い出に捧げる』『
風のメッセージ』に続く、藤原真理さんの「風」シリーズの一枚です。