格差社会の諸問題が、3編13章からなる諸論考で分析されています。その問題意識は、社会科学としての統計学の視点から、格差構造の実態を解明することにある、とされています。格差というと普通は、資産、所得、雇用のそれがすぐに頭に浮かびますが、本書はそれらはもちろんとりあげつつ、、他に年金、医療、健康などのそれについても論じ、意欲的な内容になっています。
独自の実態
調査、ミクロ・データやリサン
プリング・データの利用と再分類・再集計によって新しい統計利用が検討されているのも特徴的です。
第一編では「人口・労働」が、第二編では「生活・福祉」が、第三編では「地域・環境」がテーマとして取り上げられ、上記のようにそれを統計を使って分析、検討されています。詳細は以下のとおりです。
<第1編:人口・労働と統計>
「第1章:日本の人口動向と格差社会」(廣島清志)/「第2章:現代の失業・不安定就業・『ワーキング・プア』」(岩井浩)/「第3章:雇用労働者における年齢および所得水準による労働時間格差」(水野谷武志)/「第4章:労働者属性別にみた賃金格差の検討」(小野寺剛)
<第2編:生活・福祉と統計>
「第5章:税務統計にみる個人所得分布の二極化」(山口秋義)/「第6章:年金格差と高齢者の貧困」(唐鎌直義)/「第7章:医療制度改革による国民医療保障への影響」(鳴海清人)/「第8章:日本における世帯の土地利用」(田中力)/「第9章:格差・貧困社会と社会保障」(福島利夫)
<第3編:地域・環境と統計>
「第10章:地方自治体の政策形成と統計」(菊地進)/「第11章:格差社会の地域ガバナンスと地状学」(藤江昌嗣)/「第12章:健康の不平等」(藤岡光夫)/「第13章:
地球温暖化問題における二酸化炭素排出格差」(良永康平)