結構厳しい評価が出ている本作ですが、個人的には結構楽しめました。
全体の構図は古くさいし、途中少し中弛む様な展開もあったが、
それをカバーしてあまりある役者の演技がリカバーした印象。
大泉洋のハードボイルド気取りのちょっと抜けた
探偵と、
ひょうひょうとしながらも、いざというときには頼りになる
松田龍平の助手のコラボレーションがなんともたまらん!。
敵役の高嶋政伸の意外さ、謎めいた小雪の演技…いずれも
良い演技でした。
脚本がもうひとつぴりっとしないところが残念だったが、
それでも豪快なラストシーンはなかなかに「ここまでやるか!」
という感じで楽しみました。
次回作もあるそうなので、もう少しスピード感のある脚本
が魅力的な俳優陣を生かし切る作品となることを期待します!。
東直己が北海道警に対して非常に怒っているというのはウェブサイトに連載しているコラム「東直己の固ゆで日記」を読めばよくわかる。ぼくの住んでいるところには全然伝わってこないけれど、幾多の北海道民も怒りまくってるのだと思う。『熾火』は、ずばり、北海道警の腐敗にまきこまれた
探偵畝原の物語である。東直己の描く
探偵は「ススキノのおれ」と畝原の2シリーズあるが、このふたつは今までは交錯しているようでしていない微妙な関係だった。「おれ」が軽い
タッチで身の回りのごたごたが発展した事件に巻き込まれるのに対して、畝原はアップ・トゥ・デートな事件を扱ってきたが、今回、間接的に出はあるにせよ二人は出会う。道警のどうしようもない腐敗に巻き込まれながら『ススキノ・ハーフボイルド』『駆けてきた少女』と東作品でここ2作つづいて、どうにも歯がゆい結果となっていた問題にも一応のけりがつく。
探偵畝原の内面は物語のなかで常に語られるのではないが、語られるときには鮮烈で共感を誘う。しかし、物語の終盤は唐突だし、事件のきっかけとなった登場人物は最後には忘れらられた存在のようだ。これはちょっと、あんまりだなあ、と思う。上記2作を読んでこの小説を読むと爽快感は格別だけど、この本から読み始めたら、なにが面白いかきっととまどうに違いない。
今や「
探偵はバーにいる」シリーズで人気作家の著者ですが、この本に代表される「奇妙な味」の短編小説群も秀逸です。
幻想、恐怖、ユーモアとさまざまな要素が入り交じった感じは読んだ後に贅沢な余韻を味わうことができます。
古くはサキの小説が好きな方にはお勧めです。