「羊たちの沈黙」ではレクター博士(A.ホプキンス)とクラリス(J.フォスター)との絡みが印象的だったが、本作は題名通り、自由の身となったレクター博士に偏って焦点を当てた感がある。勿論、2人の関係が作品の基底にあるのだが、J.ムーアに代わったためかクラリスの存在感が薄い様に思われた。J.ムーアの実力に不足はないのだが、余りにJ.フォスターの印象が強く、シリーズ映画の難しさを感じさせる。
一方、A.ホプキンスはレクター博士そのものであるが、「羊たちの沈黙」の映画化後、T.ハリスがA.ホプキンスを念頭に置いて作品を書いている由なので、むべなるかなである。ヨーロッパ味を滲ませたレクター流美意識が前面に出ている映像は中々の物ではないかと思う。荘厳な音楽と相まって、美と醜、愛と憎悪が濃密に入り組んだ内容はやはり迫力がある。ちょっとした会話もレクター流ウィットに富んでいて、楽しませてくれる。
レクターとクラリスのラスト・シーンについては賛否両論あるかと思うが、これまたシリーズ映画という制約上、止むを得ない展開だったと思う。T.ハリスの原作からしてそうなのだが、嗜虐性から次第にレクターの精神性に比重が移っている印象を受ける。これからも、小説・映画共に期待が持てるシリーズだとの想いを強くした。
これは出版と同時に買いに走った。仕事さぼって一気一気。賛否両論あるのは知っているが、私はこの終り方、大好きだ。殺人鬼が幸せになっていいかどうかは別問題、レクター博士とクラリスだから許します。
うっすらと博士の過去が匂わされているあたりが気にはなったが、まあこの程度ならいいんじゃないという範囲。
これからという方、「ライジング」は読むんじゃない。
アンソニー・ホプキンスのレクター博士は気持ち悪過ぎてあまり好きではなかったのですがマッツ・ミケルソンのレクター博士がダンディーで大好きです。男性のおしゃれとはこういうものなのかと感心しました。今ではレクター博士はマッツさんのレクターしか考えられないです。シーズン2になりセクシーなシーンもあるようなので早く見たいです。
ただ毎回の殺人現場は少しやり過ぎかとは感じます。料理はとても美しいのですが原材料を考えると気持ち悪いですね。
「羊たちの沈黙」から10年後の物語。時系列的にはシリーズの正統な続編ですが、一部のキャラクターの解釈が前作と異なっています。鑑賞前にそれを念頭に置いておくといいかもしれません。
レクター博士役の
アンソニー・ホプキンスは続投ですが、クラリス役はジョディ・フォスターからジュリアン・ムーアに変更されています。前作の
アンソニー・ホプキンスとジョディ・フォスターの迫力ある演技力に圧倒された身としては少し残念な気もしますが、本作のクラリスはレクター博士と対等に戦えるまでに成長した捜査官として登場しますので、キャラクターの性格を考えるとベストなキャスティングだったかもしれません。前作よりも猟奇的でグロテスクなシーンが増えていますので、苦手な人は注意した方がいいでしょう。