T.T.D.の作品の中で一番バランスがとれてると思う。FUNKYな曲有り、しっとり泣かせる曲有り、全ての曲が好きなんだけど特に僕のお勧めは2571416です。是非皆もこのALBUMを聴いてT.T.D.の溢れ出る才能っぷり堪能して下さい!!
87年リリースのデビューアルバムにして、彼の最高傑作。自分と誕生日が一緒ということもあり、割とリアルタイムでの思い入れも強く熱心に聴き込んだアルバムだったのだが、2nd以降の方向性には正直違和感があって長い事聴いてなかったのだが久しぶりに聴いてみたらすごく良かった。
2nd以降と何が違うのかというと、要はセルフプロデュースか否か、という点である。このアルバムを聴けばよく分かるが、すごいボーカリストだし、ソングライターである。でもプロデュース面に関しては…という。だから彼が常に
プリンスを意識してああいう風になりたいと思ってたのはよく知られているが、結局
プリンスにはなれなかった。「お客さんの満足度」を軽視しない
プリンスは実は稀代の「エンターテイナー」だとも言えるし、TTDはポピュラリティよりも自分が納得出来るかどうかに重きを置いている分職人気質のアーティストだとも言える。
で、この1stだがUKトップ10入りした"If You Let Me Stay"や全米1位になった"Wishing Well"を聴けば分かる通り、基本「昔のソウルを現代風に洗練されたアレンジで」というアプローチになっている。で、この作品のプロデュースを担当しているのが初期Human LeagueのメンバーだったMartin Wareおよびその相棒のGlenn CregoryことHeaven 17のメンバーである。彼らは別名プロジェクトのB.E.Fでティナ・ターナー復活のきっかけを作ったりしているのだが(彼らのプロデュースした"Let's Stay Together"がヒット)、元々は筋金入りのボウイチルドレンで。案の定ティナにボウイの"1984"(『ダイアモンドの
犬』収録のボウイ流ブルーアイドソウルの代名詞的な曲)を歌わせたり、元アソシエイツの故Billy MackenzieにもB.E.Fのアルバムで"Secret Life Of Arabia"を歌わせたりしている。手法としてはエレポップ、だがソウル・クラシック的な感触を持たせるために打ち込みではなくバンド的なノリを重視したアレンジ、お手本になるのは"シン・ホワイト・デューク"期のD・ボウイ…と。
だから、このアルバムは確かにアメリカ出身の黒人アーティストの作品ではあるのだけど、そのサウンドがむしろUKのブルーアイドソウル(同時期のスタイルカウンシルやブロウモンキーズ、ジョージ・マイケル等)に似た湿り気とノスタルジアを感じさせるのはその辺に理由がある。このやり方はすごくうまいやり方で、トレバー・ホーンがSealをプロデュースして大成功させたり、といった形で継承されたりしている。この人がもし自分の器を冷静に客観的に見極めて、プロデュースを腕のいい白人に任せる謙虚さを持ち合わせていたら、2nd以降もこのクオリティを維持出来たかも…いや、「一期一会だからこそ獲得できた特別な輝き」という形容の方がこの名盤にはふさわしい。