青山さんの音色は本当にドイツ的だ。ものすごく太く、やわらかく、しかし芯がしっかりしている。今ではドイツ本国でも軽やかで華やかなインターナショナルな音色をもつ奏者が多いが、彼は1960~1970年代、カラヤンの黄金時代を支えたローターコッホのような、伝統的なドイツの音色を持っている。この音色でバッハの作品を演奏されたら、素晴らしいと言わざるを得ない。

モーツァルトのオーボエ四重奏は今までにさまざまなオーボエ奏者の演奏を聞いてきましたが、初めて青山さんの四重奏を聞いて正直驚きました。1960，1970年代の正統ドイツのオーボエを感じさせる太くやわらかい、しかし芯のあるオーボエの響きは他に比類なく、今までベスト盤に違いないと思っていたローター・コッホによる演奏に勝るとも劣らない名演です。フランソワ・ルルーやアルブレヒト・マイヤーのようなインターナショナルで軽やかで華やかな音色とは違いますが、日本にもコッホのようなスーパープレーヤーがいたのかと驚くとともに嬉しくなりました。