表題通りの二編が収録。
『雪の峠』は、戦国の世を生きた年寄りたちと、太平の江戸時代を迎える若い家臣たちとの、策のぶつかり合いが面白かったです。
佐竹家当主の佐竹義信のシビアさと、それに気に入られている渋江内膳のほっとするのんびりした雰囲気の対象も面白いです。
梶原美濃守がかっこいいです。彼の思い出の中の
上杉謙信、怖いです。
『剣の舞』は、私が岩明均先生の漫画を読んだ最初のお話でした。
この時、「この漫画家、いい!」と、好きになりました。そして、以後、『ヘウレーカ』『ヒストリエ』と読んでいます。
家族を殺され、自身もレイプされた少女ハルナが、復讐を果たします。
切ない悲しいお話なのですが、男性作家ながら、決してこの少女を凌辱しない描き方。少女の気持ちに沿って描いている。
主人公の疋田文五郎景忠の優しさが良いです。