以前、と言っても結構前ですが、民放TV局で毎年寮歌祭を放送していました。
旧制高校を出て功なり名を遂げた方々が往時の学帽、袴を着用し各校が順番
に舞台にのぼり太鼓など叩きながら自前の寮歌を歌うとの催し物です。「現
役」世代ではない石原慎太郎が母校の番の時に舞台に上がっていたのを思い
出します。

さて実際の歌われ方ですが、歌の上手い連中が美声を発して歌ったものでは
なく、普通の学生が普通の男声で自分たちの歌として歌ったものであり、寮
歌祭での歌声も高齢の所為もありますが地味なぼそぼそした歌声でした。漢
語の多様もあり、字幕が無いと歌詞が聞き取れませんでした。

寮歌を現在の各大学の合唱サークルに歌わせる方法もありますが、各大学の
応援歌を集めたＣＤで見られる様に線が細くて迫力に欠ける歌声になる様に
も予想されます。それならいっそ声量豊かなプロに歌って貰うのも悪くはあ
りません。

本ＣＤのボニージャックスの歌声は迫力があり、また大変明瞭な発声で言葉
が聞き取り易く、寧ろ寮歌の作り手の当初の意思を正しく伝える歌声ではな
いかとの気がします。

各歌のフルの歌詞並びに解説（作詞作曲者、年、成立の経緯）を簡潔に記述
したパンフレットも入っており、以上から買って損はしなかったと感じてい
ます。