コンサルタントの二宮、二蝶会の桑原……。この2人のコンビネーションが、ページをめくるごとにエスカレートする。ジャンル分けしてしまえば、ノワール系なのかもしれない(程度の差こそあれ、悪いやつしか出てこない)が、そういう雰囲気ではない。産業廃棄物の裏面を詳細に描くから、経済もの、または社会もの、と言えなくもない。または一種のミステリーかなあ。ジャンルを超えたサスペンスである。ハードボイルドというのがわかりやすいか(実際に文中に「かっこええがな。ハードボイルドを絵に描いたようやで」という桑原のセリフがある。ちなみにここは笑うところだが)。関西弁がいい味である。カネにまつわる現実感、組織暴力についての現実感など、関西が舞台ならではの雰囲気が非常によく出てくる。さて、これを読んだら、「疫病神コンビ」が再登場する「国境」を読まなくちゃね。
桑原と二宮の掛け合いは、そこらの下手な漫才よりもずっとおもしろい。薄汚いヤクザ社会を描いているのに、暗さがなく、からっとしたユーモアも感じられます。
大阪ヤクザの実態ってこんなものかと知識欲?まで満足させられるのです。
ほんとに非常識の塊のような桑原なんですが、そのゴロ巻きの強さと目的達成への執念には、いつか共感まで覚えてしまいます。
でも、こうした内容で、女性読者をつかめるのでしょうかねえ。わたしは大ファンですが。
大阪弁の中でも、最も柄の悪い言葉を、これほど上手に小説に取り込めるのは、著書もこうした使い方に慣れているからなのでしょうか。一度お話をしてみたいと思います。