![]() 鬼龍院花子の生涯 [DVD] |
故・夏目雅子さんに注目を据えれば、代表作、開眼作、主演と言って間違いないし、若くして急逝された名花でもありそう言いたくなる気持ちもわかりますが、全体としてはやはり“仲代達矢さんの映画”以外の何ものでもないですね。
無学で無骨な、情熱の侠客鬼龍院政五郎、しかし無名塾塾頭たる仲代さんの熱演で、どこか“プロの役者魂が、アタマで考え、こしらえを尽くした無学”になっているのが面白い。 「こういう役に小手先ではイカン、まず、おのれを真っ白にして、役を読み込み読み込み、おのれの中に役が入ってくるのを待って、待って、ためて、ためて、よーーーしキターーーー!!」とバーン放射したところを五社監督よっしゃー撮った!!みたいな、一期一会の神がかり的な迫力がある。 そこへ行くと制作当時24歳の夏目さんは、ピュアで徒手空拳で、方法論も何もなく感性でぶつかっているのがわかりますね。役設定以上に、演技キャリアも親子ほど違うお二人が、心を裸にして向き合う“討ち入り”直前の2ショットは胸を打ちます。 夏目さん扮する松恵に感情移入して観てしまうように作られているにもかかわらず、ラストがえらく突きっ放しなので★満点にはできませんが、2時間半弱の長尺にふさわしい見ごたえはあります。 |
![]() 寒椿 [DVD] |
こんなに西田敏行に釘付けになったのは初めてです。 これを見た次の日に、探偵ナイトスクープに出演している西田さんを見ても、同一人物と思えないくらいの正に迫真の演技でした。 8ミリで撮ったような質感と、細部まで凝られた昭和初頭の高知をもちろんCG無し('92年制作なのであたりまえですけど)で再現され、映画の世界に否応無しに引き込まれます。 他の共演者達の好演も手伝って、東映の隠れた名作になったと思います。 ちなみに監督は、後に鉄道員(ぽっぽや)を撮った降旗康男監督です。 |
![]() NHK大河 義経 総集編 [DVD] |
義経は、伝説が多いですね。というのも、判官贔屓(はんがんびいき)という言葉は、彼のこと。惜しまれて死んでいった英雄は、その後に日本人が英雄として祀っていきますが、彼はその最たるもの。
五条大橋での弁慶との出会いや、静御前とのロマンス。一の谷から駆け降りる騎馬隊に、壇ノ浦の合戦での八艘跳び。どれも有名な話ですが、その映像を見る事が楽しみ。このドラマには、どれもしっかり入っていました。義経の物語は、平家物語の延長として考えられることもあるのですが、このドラマは滝沢・義経を描いた作品でした。 |
![]() きのね〈下〉 (新潮文庫) |
小説を書くにあたって、
十一代團十郎のすさまじい癇癪(かんしゃく)に耐えた姿を書くということで 今の團十郎サイドからは色よい返事がもらえなかったそうです。 しかし、團十郎さんの心配をよそに 読み終えたあとは まるで運命かのように結びついた雪雄と光乃夫婦を、とても素敵だと思いました。 そしてその子供である今の團十郎さん、その孫である海老蔵さんにも、更に興味がわきました。 小説としても素晴らしいし、歌舞伎に興味がある方や、もちろん成田屋贔屓の方も、 楽しめると思います。 市川宗家の重みというか、プレッシャーというのは、並大抵のものではないのでしょうね。 團十郎さん、海老蔵さん、応援したくなりました。 |
![]() きのね〈上〉 (新潮文庫) |
歌舞伎が好きなので、「不思議の国の王子」海老蔵を見るのは楽しみのひとつ。そのお祖父さんとその妻の話は、関容子の本を読んでから、なんとなく気になっていた。この二人をモデルに、歌舞伎役者とその妻の人生が、まるで長編のテレビドラマのように語られる。
本書の主人公の夫婦の精神構造は、江戸時代そのままである。主従という関係が、夫婦や、親子を含む全ての関係に優先する。戦前に育った人は、果たして皆こういう考え方をするものなんだろうか?いや、そんな筈もないのだが。しかし歌舞伎という世界では、今も江戸時代の精神構造を保っているのだと著者は言う。そうでなければ、江戸時代の人物になりきれないし、芝居のリアリィティも出てこないのかもしれない。しかし、そういった窮屈で人権も何もない世界から遠く離れつつある今の眼で読むと、今ひとつ感情移入できない。何故そこまで自分を犠牲にしなければいけないの?女中であろうと、何だろうと。 江戸時代の日本は美的な意味で「美しい国」だったが、社会的には全部が美しかった訳ではない。歌舞伎はその両面を今も伝える不思議な国の中のおとぎの国であることを、この本は語っているようだ。 |
![]() 新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫) |
私は、まずNHKの大河ドラマを観て、それからこの原作を読みました。結論としては、両者はかなり印象が異なります。どちらが良い悪いということではありませんが、個人的には大河ドラマの方が楽しめました。とはいえ、接した順序が逆だったら、わかりませんが。
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