四六版39文字×13行でパラグラフ僅か120とかなり
コンパクトな内容ですが、挿絵を見ながらの
調査、謎解きと計算による隠しパラグラフ遷移、死の14番……としっかりツボを押さえた作りになっています。しかもこの分量でマルチエンディング。
タイトル/扉絵からして些かネタバレな感がありますが、そこはまあ入門用ということで敢えて難易度を抑えてあるのでしょうか。同時刊行された2巻の方はやや手応えある作りですので、是非一緒にどうぞ。
PL,GM含めて5回プレイした上でレビューします。
1.ミドルフェイズとクライマックスフェイズのメリハリ
このゲーム、ゲーム中盤のミドルフェイズとゲームの盛り上がりであるクライマックスフェイズでは、全然違うゲームです。
まず、ミドルフェイズでは、プレイスといわれるマーカーを回って、困ってる街の人達を助けたり、ヒロインと交流したりします。そうして事件の手がかりやマナソース(魔力源。トランプで表される)を集めていきます。このフェイズではヒットポイントなどの戦闘に使う数値を決めなくてもいいのです。児童文学のような、ほのぼのとした雰囲気で楽しめます。
クライマックスフェイズでは、プリキュアやナイトウィザード(TRPG)さながらのド派手なバトルが楽しめます。戦闘に使う数値をここで決めて、マナソースや秘儀(一定条件で使える必殺技)などのリソースをバンバン使います。多い時にはダメージを決めるダイスを30個も振ります。
2.世界観
現代社会で、魔法が広く認知された世界観です。魔法が就職などに有利な資格として知られていて、魔法使いたちの組織である魔法学園が、広くカルチャースクールのような駅前魔法学園を開いています。さらには魔法学園は異世界とつながっているのです。現代ファンタジーとして楽しめるだけでなく、異世界も絡む話も作れてしまう懐の広い世界観です。
3.キャラクタークラス
パーテムというクラスの分類があります。
アリスはボスを倒すフィニッシャー、ソーサルナイトはアタッカー兼防御役というように、クラスごとに役割が明確に分けられています。なので、キャラクター作成が分かりやすいです。さらにキャラを特徴付けるマギカスタイルというクラスも、魔法が絡んでいてとても魅力的です。錬金術の他にも、気功術、
魔女術など、はては魔法芸術まで扱っています。かなり魔法使いっぽく、幅広いキャラクターが作れます。他にもミドルフェイズに使えるデータを決める方法が表をROC(ロール オア チョイス。サイコロを振って決めるか自分で選んで決めるか)するだけです。街での姿や学園での姿などを決めることができます。学生からサラリーマン、項目によっては動物もプレイすることができます。
ゲームルール、世界観、どれも斬新で面白いです。現代ファンタジー物やほのぼのとしたエブリデイマジック、児童文学や魔法少女物が好きな人にオススメです。