「千と千尋の神隠し」以来7年ぶりに、原作・脚本・監督を宮崎駿氏が担当した話題作「崖の上のポニョ」のアート200点以上を集めた作品。既に作品を見られたかたはなお楽しいでしょう。映画の
スクリーンを除いたかのような画像集は圧巻です。
この宮崎アニメ、アンデルセンの『人魚姫』をモチーフにしたお子様向けファンタジーなどと思ったら大間違い。このアニメを見た後だと、さつきとメイが実は死んでいたという『となりのトトロ』の都市伝説が妙に真実味をおびてくるのだ。
公式サイトの解説などを読むにつけ、北欧神話ワルキューレ・ベースの<<輪廻転生の物語>といったもう一つの側面をはっきりと読み取れるのだ。ポニョの本名ブリュンヒルデは、戦死した兵士をヴァルハラに導く役目を授かったワルキューレの一人。
オーディン(神)の命に逆らってブリュンヒルデが眠らされたエピソードや、彼女の夫となるジークフリード(宗介?)が竜の血を浴びて無敵の戦士となるくだりなどが、本作品の物語の中に組み込まれているのは間違いないだろう。「今さら何でワルキューレなんだ?」という疑問については公式HPを見ていただくとして、この
ジブリ作品の裏テーマは具体的にどのようにして描かれているのだろう。
ポニョが起こした大津波に巻き込まれて、宗介の母親および老人ホームのお婆さんたちはあの世行きになってしまったようだ。放置された車椅子、抜け殻になったリサ・カー、冥界へと続く?不気味なトンネル、火の消えたロウソク、海底でなぜか歩けるようになっている婆さまたち・・・。死のメタファーがここまで登場するファンタジーというのを今まであまり見たことがない。
海なる母の胎内で、(死んでしまっている)リサとグランマンマーレはおそらくこんな会話をしていたのではないか。「宗介を一人(現世に)残してきてしまって大丈夫かしら」「平気。ポニョが宗介をここまで導いてくれますわ」行方不明となった母の捜索の途中で出会う人々が(不気味な古代海中生物がうようよしているにもかかわらず)まったく恐怖心を覚えていないのも、すでに死んでいる(もしくは死につつある)からかもしれない。
ポニョが入ったバケツを持って(宮崎のお母さんがモチーフになっているという)トキ婆さんのお腹へ宗介が頭から突っ込んでいくシーンをまとめ上げるのに、宮崎が相当悩んだという。海なる母の子宮(死んでしまった母の待つヴァルキリア)へ回帰しようとする宗介の姿を、どうしたらシンボリックに描けるのか。演出がなかなか決まらずチェーン・スモークする宮崎の姿が、NHKのドキュメンタリー番組で映し出されていた。
このアニメを作りながら「お迎えがくる日を指折り数えられる年齢になった。そしたらお袋と再会するんだよね」と周囲に洩らしていたという宮崎駿。夏目漱石が持病の胃潰瘍で生死の境をさまよっていた時代の小説『門』の主人公の名前(宗介)を借りて描いたこのアニメには、宮崎の死生観がはっきりと現れているのだ。
しかし、海から生まれ海に帰っていく生命の輪廻転生を伝えるために、まさか人類皆殺しにしてしまうとは。本当は怖い宮崎アニメの巻でした。
崖の上のポニョ DVDで検索するとなぜかど素人の人の批評が偉そうに
書いてありますが、子供うけしない等、、
なんだろ、書いてて嫌になんないのかねえ。と思いますが、
9歳の子供相手に、そこまで本気になるか?と。
そもそも、この作品、子供以上に外国受けが今までの作品よりかなりよくて、
正直
ノーベル賞作品じゃないか。という作品になっていますよ。
その点、ただ単純な感動を求めるタイプの人や、ただ周りを知らず自由に生きている人は、考えられない点かもしれませんねえ。大人もアニメーションと、
ココロの考察を見た内容が、外国でも増えてきましたが。
まあ、隣で見ていた女子児童が、冒頭隣で父親に『キモクナイ?』そうたのしゃべり方に、いやみな主婦が『わざっとらしい』と。
そうゆう人が、いるから宮崎監督が挑戦した神経症時代への作品が必要に
なっているのに、そうゆう人は、知りえないんだろうなあ。
海の生物は、
猫のようにかわいくは必ずしもないし、宮崎監督のコメントを聞いてから見るとさらに、映像が輝きますよ。
映画も音楽もとても良い出来です。父親の私は、フジモトの気持ちに涙したり・・・。ポニョを宗助に貰ってもらう時、さりげなく交わした握手が、来る娘の結婚式を思うと、もう・・・(涙)それで、「お迎えが来ないから、散歩させておくれ」の歌詞バージョンがないので星4つにしました。きっと宮崎さんの宝物なんでしょうね。よくばりですねわたし。。。
自然派作品ではポンポコ、ポロポロもいいですが、アニメでは余り社会派的な作品よりも、感情に訴える方が子供の印象に残って良いのかと思います。 ポンポコは山の神対人間で、今度は海の神対人間がテーマです。 海は山よりずっと強大で、津波のシーンも有りますがこれは3.11以降よりリアルに自然の大きさを実感させてくれます。 人間社会なんてちっぽけなもんだ、というのが宮崎作品の基調で、その上で登場人物にスポットを当てているのが上手く、見ていて何かホッとさせられます。 老人ホームを描いたのも効果的で、益々大きな自然の中での人間の非力さを際立たせ、助け合う中でこそ謙虚な人間同士の慈しみが生まれる事を描いています。
個人的にはフジモト(登場人物)の様な、生態系を爆発的に豊かにする活動をしており(微生物レベルですが)、それによる海の浄化も世界的に広まっているので、この映画に影響されて益々こうした活動の輪が広がる事を願います。 活動についてはwww.ecopure.infoから良く解ります。