バルト三国のエストニア、ラトヴィア、リトアニアが1991年「人間の鎖」によって独立を果たして以来、いずれの日にかここを訪れたいと願っています。特に何年に1回開催される有名な合唱祭(歌謡祭)の頃が理想ですが。
るるぶシリーズに
バルト三国があったのかどうかは知りませんでしたが、書店でこれを見た時はとても嬉しかったですね。
24ページ以降にはタリン旧市街を歩くとして800年の歴史を感じさせる建造物が掲載してありました。その国の観光名所だけでなく、成り立ちや言語、民族などにも触れていますし、知られざる一面も紹介しています。
45ページには、ハンザ都市の栄光を宿すバルト最大の街としてラトヴィアの「バルトの貴婦人」リガの紹介があります。特にユーゲントシュンティール建築群散歩は読みごたえがありました。アール・ヌーヴォーの建築物としてはこれだけ固まって存在している都市は珍しいでしょう。
リトアニアのヴィリニュスには杉浦モニュメントがあります。1940年リトアニアの在カウナス日本領事館領事代理だった杉原千畝氏が自分の身の危険もかえりみず、
ポーランドからやってきた6000人ものユダヤ難民の国外脱出を助けるためにビザを発給しました。カウナスにある杉原記念館と併せて訪れたいと思っています。
82ページには有名な十字架の丘が紹介してありますソ連軍の圧政を跳ね返し、繰り返し作り続けてきた十字架の丘の写真からは人々の痛切な思いと深い信仰心が伝わってくるようでした。
勿論、ホテル、お土産、レストランの情報は当然掲載してありますし、入国と出国に必要な情報もまとめて掲載してありました。
バルト三国はリトアニア、ラトヴィア、エストニアからなる。リトアニアとラトヴィアはインド・ヨーロッパ語族のバルト系の民族であるが、エストニアは隣国フィンランドと同様ウラル・アル
タイ語族のフィン・ウゴル系の言葉を話す。しかし政治的には古来からリトアニアが
ポーランドと結んで「リトアニア大公国」を形成するなど、民族自主の歴史が強いのに対して、言語系統を異にするラトヴィアとエストニアが「リヴォニア」と呼ばれて
ドイツ騎士団、
スウェーデン、
ロシアなどの外国に従属した歴史が長い。三国が独立したのは第一次世界大戦後であるが戦間期にスターリン・ソ連に併合されてしまった。ソ連崩壊後三国は再独立し、近年やっとEUとNATO加盟を果たし、西欧世界の仲間入りを果たした。本書はバルト地域の少数民族が
ドイツ、
ポーランド、
ロシアなどの大国に挟まれながらリトアニア、ラトヴィア、エストニアという三つの国家を形成する複雑な過程を丁寧に追っている。