日本を代表する知性、加藤周一先生が、87年にNHK教育テレビで10回シリーズ放映された作品。レビューに内容の概説がないので理解しにくいと思いますので。10の切り口・テーマをご紹介すると1.はじめに形ありき・縄文文化と
メキシコのウシュマル遺跡の形の類似性2.神々と仏の出会い・・・神仏習合と日本人の心性3.現世から浄土へ・・西方浄土への憧れと優れた造形4・水墨・天地の心象・・写実を離れた簡略化された描写<5.琳派海を渡る6・手の中の宇宙7浮世絵の女たち8.幻想に遊ぶ9・東京・変わりゆく都市10.21世紀への冒険。大陸文化の影響を受けなかった火焔土器をはじめとした縄文文化の独自性にはじまり、大陸から渡来した文化に触れても、そのまま受け入れるのではなく、独自に取捨選択する日本
美術の特性はオリジナリティはなくとも独自の世界を作り上げてきました。それを一言で言うと「洗練」という言葉で表現できるのではないでしょうか。そうした日本
美術の特性を西洋
美術などとの比較もしながら、分かり易く解説してくれます。平凡社から大判で出版もされていますが、いまは絶版で、古本でしかないでしょう。なにはともあれ、これほど体系的に、グローバルな観点から、語られた日本
美術論はいままでなかったのではないでしょうか。加藤先生の博識ぶるには驚かされます。私は当時、ビデオをとり、本も買い、なんども見ました。それがDVDになったのは嬉しいのですが、値段を見てビックリ、内容が素晴らしいだけに、この値段はなんとかならないものでしょうか。