ダニエル・デフォー「ロビンソン・クルーソー」は,南海の無人島での話なので,当然,太平洋での話だと思っていた(チリ沖のファン・フェルナンデス諸島で1704〜1709年を過ごしたアレクサンダー・セルカークというイギリス人船乗りの実話がモデルとなっている)。しかし,小説は,南米・ベネズエラのオリノコ川河口が舞台であった。
デフォーは,金の有数の産地であるオリノコ川周辺のギニア地方(グアヤナ地方)をイギリスの植民地とするため,同地に多数のイギリス人の入植を誘うため,「ロビンソン・クルーソー」を書いた。
「
エルドラド」とは,金で溢れかえるという伝説の王国。
スペインの将軍ケサーダは,オリノコ川周辺こそ
エルドラドが所在する地であると考え,1569年,
エルドラドの地の終身総督及び軍務総監の地位が与えられた。
エルドラドは,その後,
スペインとイギリス,イギリスとベネズエラが相争う地域となった。
が,20世紀に入ると,金鉱業はさびれた。
スティーブ・マックイーン主演「パピヨン」のモデルである,強盗犯パピヨンが収容されていたのは,
エルドラド刑務所である。
本書は,ベネズエラを舞台に設定して,15世紀から現代までの
エルドラドの移り変わりを,種々のエピソードを交えながら解き明かす本である。
欧米による
黄金郷探検譚に興味のある方にはお勧め。
この文庫版は1,2巻が第1部。3,4巻が第2部。5,6巻が第3部となっています。
1部と2部は単独で読んでもストレスの少ない内容になっています。
1部の特徴は、海賊らしさや
インカ帝国の黄金の郷についてのロマンスに
あふれているところです。
2部3部と、主人公の成長に従って恋愛のウエイトが大きくなるのに比べ
1部は主人公も子どもで、安心して(?)楽しむことができます。
編集の意図で、第1部は主人公が母親の行方を捜す母子ものという設定になったそうですが
オリビエとエロールの幼さが愛らしくて、私は結構この1部が気に入っています。
また、1部終了から2部への展開も絶妙で、作者の好調さを感じます。
(2部から3部への展開はこれに比べるとあまり絶妙ではないのです)
うろ覚えですが、『三銃士』や『岩窟王』やアル
セーヌ・ルパン(だったかしら)
そんな色々な面白さを詰め込んだ作品を書きたいと作者がどこかに
書かれていました。確かに影響をうけています。
舞台は16世紀末エリザベス女王の統べる英国。
スペインとの宗教戦争のまっただなか、王家の血を引く双子と
美貌の敵国人、そしてかっこいい同国人たちの恋の物語です。
伯爵や公爵や女王陛下や枢機卿などがでてきます。
ジプシーや泥棒や海賊や幻の
インカの伝説なんていうのもでてきます。
こんなタカラヅカ真っ青のような豪華な設定の少女漫画が昔はあって
週刊誌で毎週読むことができたなんて、とても幸せなことでした。
確かに微妙に荒唐無稽だったり、歴史の考証ミスはありますが、
たとえば『三銃士』の荒唐無稽が決して作品のキズではないように
この作品の荒唐無稽さも、作者の執筆の勢いとして、光り輝くように
感じています。
また、この歴史考証はどうのこうのというのも少女漫画の読み方としては
つまらないものだと思いますので、西洋史に詳しい方も目くじらを
立てずにロマンの旅にでてほしいです。
読後に、登場人物の名前の由来を映画スター、歴史上の人物
小説の登場人物などに探したりするのも楽しいです。
もしかしたら、暇人向きでしょうか。
残念ながら未完ではありますが、1部から3部まであり、各部で完結した
ストーリーですので、十分楽しめます。
1部と2部だけ読むという読み方もあるかもしれません。
この作品の完結を願っていましたが、このような素敵な漫画に
子供のころに出会えただけでも、私は作者にとても感謝しています。
そして、とても才能のある漫画家であった山本鈴美香さんが少女漫画界から
早くに去ってしまわれたことを、いつまでも残念に思います。
SFC版風来のシレンのストーリーをうまいこと踏襲して、さらに当時の未公開設定を織り込んでいるのがいい感じです。ただ、いかんせんこの小説の登場自体が遅過ぎたたかな…という感じがあります。内容自体はゲームをプレイされてない方でもしっかり楽しめるモノですし、当時、こばみ谷に挑んでは散っていった風来人の方々には、是非ともおすすめしたいですね。