阪本順治監督第2作、1990年の作品、
ジャケットから想像できるように阪本版「ロッキー」でありかつまた「明日のジョー」のような作品、
前年の映画賞を独占した第1作「どついたるねん」がボクシング青春映画なら
本作はボクシングを素材としたアクション・ファンタジー映画、
菅原文太最後のアクション映画にしてこれぞカルト映画といってもいい不思議な物語です。
前半がリアルな青春再生物語として描かれながら、後半はどんどんSF風味になってゆく点が観客を選んでしまうと思うが
初期の
ジャッキー・チェン映画に通じる延々と続くアクション・シーンを打撃系アクション・ファンは見逃してはいけません、
クライマックスのほこりっぽいベージュ系の撮影はジャッキーをおもいっきり意識したものでしょう、
とにかくまだ身体がよく動く時代の
シーザー武史VS大和武史&
菅原文太です、
阪本監督は女優の撮影が上手、
本作でもグラビア美女風に成らずに桐島かれんの美女イメージを最大限に引き出しています。
主演男優が事件続きになってしまったので以後再発売されるものなのかどうか?
見たい人は早めにチェックしたほうがいいでしょう。
大和・大和田の二人は正真正銘の元ミドル級チャンピオン、よって二人のスパーリング・シーンは
まさに本物の迫力、 ボクシング素人がボクサーを演じる映画とはことなる迫力があるのだが、
編集で見せる映画を見慣れた目にはいまひとつ分かりにくいかもしれない。
菅原文太対
シーザーというありえない対決はもちろんアクション映画らしい演出で見せています。
彼らが必然的に戦いに至るSFでもあり劇画風でもある後半の展開こそカルト作品の呼称に相応しいものでしょう。
サディスティック・ミカ・バンドへの参加を経て制作された1stソロは
当時のミカ・バンドの流れを踏襲したものであったのが、
2ndとなる今作は近田春夫が全面的にプロデュース。
これより数年前に近田は
小泉今日子とハウス歌謡なアルバム
『KOIZUMI IN THE HOUSE』を製作しているのだが、
このアルバムでは、それ以上にアングラなハウス歌謡を展開している。
小泉今日子が歌手でありながら声を素材として徹していたのに対して、
歌手でもない桐島かれんは、そもそも歌唱力で勝負しようとしていないのが良し(笑)。
話しかけてくるようなボーカルが聴きこむと結構クセになるアルバム。
これとは別な路線でもいいから、もう1枚くらいアルバムを出してみてほしかった。