以前バラで揃えてしまった人には少々お気の毒ですが、これは良いです。何しろ保存に場所をとらないし外ケースの裏側の九里一平氏による5人のイラストがなんとも微笑ましくて・・最終話を観終わってからみると涙腺をまたもや刺激されるのだ。私はお店で見て速攻、分割で(笑い)購入しました。これを購入する方はガッチャ・フリークに間違いありませんから話の方はいいですよね、ただ全シリーズにおいて、ジュンのネグリジェ姿が見れるのはこのシリーズだけです!つごう二回出てくるかな・・あとビキニ姿も・・(これは2でも観れるけど)
今から20年前、押井守という監督の下、
機動警察パトレイバー2という劇場作品が公開されました。
バブル崩壊の余波が日常生活へと波及し、未だ世界に冠たる経済大国であるにも関わらずその足元は覚束なく、皆がいい知れない不安に駆られた当時の世相をものの見事に切り取りサスペンスへと昇華させ、そのレイアウトシステムと共に傑作としてアニメ史にその名を刻んだ作品です。
そんな劇パト2から丁度20年後、実写版ガッチャマンのおこぼれに与るかの如く関東限定で細々と、しかし力強くTV放送されているのがこのガッチャマンクラウズです。
外見は違いますが、このガッチャマンクラウズも極上の現代劇であると私は考えています。
パソコン通信から匿名掲示板へ、ブログ全盛を経て実名制SNSの登場に至る過程で、インターネットは我々の日常生活に不可欠なツールとなり、同時に"場"となりました。我々はインターネットの登場から利便性と悦楽を求めてその"場"への依存度を高めた結果、現在その"場"は不安や不審を孕む社会の一部と化したと言い切れると考えます。
そういった背景を踏まえた上で、「では其処に明確な悪意を放り込んだ場合、どういった事態が起こりうるか?」という主題でサスペンスをやっちまったのがこのガッチャマンクラウズです。
これは10年前では予測不可能だったでしょうし、5年前では(実名でネットをやるという部分が)我々の感覚と微妙に食い違い成立しなかったと考えます。今だからこそできる物語なのです。
また劇内での「みんな知っているけど、昔のことなので詳しいことは分からない」というガッチャマンの設定が視聴者側の感覚と上手くリンクしており、なかなかどうして有機的に活かされています。音楽を含めた演出やアクの強いキャラクター造形も視聴者を惹き付けて放さない類のものに仕上がっていて唸らされるばかり。
ただこの作品においてそういった土台の強固さは(確かに重要ではありますが)魅力の一端に過ぎず、その本質はフィクションでありながら我々の暮らす現代日本の世相を明確に反映していればこそだと思います。