セシル・ウーセはフランスの中堅ピアニスト。ディスコグラフィーは決して多くないが、フランスものを中心に定評がある。またその一方、女流ながらショパンやブラームスでは男性顔負けの力強い演奏を聞かせてくれる。
　ここに聞くラヴェルも優雅さや繊細さを持っているが、どちらかというと骨太で男性的。ひとつひとつの音が芯を持っているようによく響くし、コントラストもはっきりとしている。また、ラヴェルの作品が垣間見せる独特の「けだるさ」のようなものも、大変よく表現されている。
　収録曲の中でおすすめは「水の戯れ」。本当に水が流れているような優しい演奏なのだが、川が水を集めて広がっていくような僅かな盛り上がりを見事に表しているし、一番盛り上がる部分では荒々しいまでの様子を見せてくれる。