今年になって、某IT企業によるメディア株買占めが世間の
耳目を集めて以降、企業買収に関わる複雑な制度機構が注目を
集め始めてきたが、その本家本元であるアメリカではすでに80
年代から社会問題となってきた。
18年前に作られた本作からは、既に実体経済から著しく乖離
した、信用取引の増幅による仮想資本をばらまくマネーゲーム
の異常さを、完全に金の亡者と化してイッちゃった経営者に
仮託して見事に描きあげた。
法廷サスペンス物と並んで、「ザ・アメリカ」なジャンルで
ある企業買収モノの傑作である。
主演のマイケル・ダグラスは、もう一方の主人公であるチャー
リー・シーンが霞むほどの圧倒的な存在感で、
アカデミー賞主演
男優賞を受賞した。
もう映画好きの間ではゴードン・ゲッコー(マイケルダグラス)は伝説ですね。ゲッコーが乗っ取りを画策するテルダーペーパーの株主総会での”Greed is good”スピーチをはじめとして全編を通してゲッコーのながーいモノローグに惹きつけられっぱなしになります。ストーンの脚本は本当に素晴らしい。
ストーン脚本の登場人物で言えばやはりこのゴードン・ゲッコーと「スカーフェイス」のトニー・モンタナがクールさでは止めを刺します。
そのむかしDVDなんてなかったころ、ゲッコーのセリフを一言一句知りたくて「
スクリーンプレイ」シリーズを買い、ビデオから音だけダビング(!)してシナリオ読みながら聴いてたころが懐かしい。いい時代になりました。
他のストーン作品、例えばスカーフェイス、
ベトナムものとかナチュラルボーン・キラーズとは違って「狂気」「残酷」の部分はほとんど見られない、その意味ではストーン作品にはめずらしく「万人受け」するとも言えるかもしれません。
証券金融界をこれだけドラマティックに描き、成功した映画は他にないだろう。(他にエディー・マーフィー/ダン・エイク
ロイド主演の「大逆転」など面白いと思うが、この映画はコメディーである。)
生き馬の目を抜く世界に生きる証券マンやダイナミックに企業を買収する銀行家達のドラマは、得てして、同業者以外の者が見ると冗長なドラマになるのだが、この映画は違う。ストーリー展開のテンポも良いし、台詞も凝っている。
特に圧巻なのは、ゴードン・ゲッコーの存在感であろう。マイケル・ダグラス演じるゴードン・ゲッコーは、実在の人物で、ジャンク債の帝王と呼ばれたマイケル・ミルケンをモデルとしているようだ。
ミルケンも、劇中のゲッコーの台詞で「アメリカの1%の金持ちがアメリカの資産の半分を持っている。そして、その内の3分の1は働いて財を成し、残りの3分の2は、未亡人やいかれた息子たちが継いだ遺産だ。私はゼロから苦労して今の地位を築いてきたんだ」と語っていたように、努力によって巨万の富を築いた人だったようだ。1946年生まれのミルケンは、ブッシュ大統領と同じ年に生まれた。10代の時に「成功するには人より長く働くこと」という規律を自分に課していたという。
ニューヨークにあるドレクセルというボンドトレーディングの会社でトレーダーとして働き始めた彼は、午前4時半に出社し、
ランチはいつも秘書がサンドイッチとソーダーをトレーディングルームに運ぶのが習慣。それも午前10時。そして夜7時半まで働いていたという。
魅力的な実在の人物をモデルとし、絶妙な配役で、テンポの良いストーリー展開を為すこの映画は、オリバー・ストーン監督の傑作と位置付けられると思う。
もう映画好きの間ではゴードン・ゲッコー(マイケルダグラス)は伝説ですね。ゲッコーが乗っ取りを画策するテルダーペーパーの株主総会での”Greed is good”スピーチをはじめとして全編を通してゲッコーのながーいモノローグに惹きつけられっぱなしになります。ストーンの脚本は本当に素晴らしい。
ストーン脚本の登場人物で言えばやはりこのゴードン・ゲッコーと「スカーフェイス」のトニー・モンタナがクールさでは止めを刺します。
そのむかしDVDなんてなかったころ、ゲッコーのセリフを一言一句知りたくて「
スクリーンプレイ」シリーズを買い、ビデオから音だけダビング(!)してシナリオ読みながら聴いてたころが懐かしい。いい時代になりました。
他のストーン作品、例えばスカーフェイス、
ベトナムものとかナチュラルボーン・キラーズとは違って「狂気」「残酷」の部分はほとんど見られない、その意味ではストーン作品にはめずらしく「万人受け」するとも言えるかもしれません。