組曲「インテラパックス(地には平和を)」は、最後の曲がよく知られていますが、全曲を通して聴くと、戦争の悲惨さや、平和の尊さが身にしみてきます。この作品は、戦争を他人ごとではなく、戦争で亡くなっていった兵士や少女、残された母親のことを、自分のこととして感じるように迫ってきます。
「さとうきび畑」は、沖縄で、さとうきびが風にゆられてザワザワと音をたてる雰囲気をよく伝えています。
「月桃の花」は、夏を迎えることなく散っていく人たちの無念さを感じさせる演奏になっています。
「平和の鐘」は、「君が一人立てば、変わるのさ」と私たちに訴えています。
音楽の持つ繊細さと、力強さがよく伝わる、お勧めの1枚です。
私は、以前この作品を見て心に深く感じるものがあった。戦争の怖さ、家族離れ離れになる悲しみ、そして大切な人の死・・・一瞬にして何もかも奪ってしまう戦争の悲惨さを感じ取れた。
この作品で得た知識を元に実際に沖縄に行ってみた。平和記念公園、ひめゆりの塔、海軍豪・・・いまだに沖縄の人から消えることのない戦争の足跡に触れてみて私は戦争の無意味さ、不要な人の死に対しとても傷ついた。タクシーに乗り沖縄の町を散策しているとふとタクシー運転手が「この辺りは戦時中人の死体だらけで歩けなくらいだったよ」とポツリ・・・その光景を想像してみたがそこは今太陽の光をまばゆく受けたサトウキビ畑。まさに天まで届かんとする立派なサトウキビ畑だった。そのサトウキビのよう静かでもありたくましく生きていけるそんな世の中を期待する。もうあの悲しみはいらない・・・
「涙そうそう」もいいのですが、やはり、「さとうきび畑」がすばらしかったですね。10分18秒という長尺、「ざわわ」という歌詞の66回、11番までの曲の単調な繰り返しをまったく感じさせないメリハリのある歌声で、一回一回心の奥底に染みてくる森山さんの歌声でした。このシングル・リリース以降も、「さとうきび畑」は、THE BOOM、夏川りみ、松浦亜弥によってカヴァーされていますし、カヴァーされたこと自体意味のあることですが、元祖の森山さんには、やはり貫禄があります。ご子息である森山直太朗氏の「さくら」がリリースされたのは、このCDのリリースよりあとですが、「まだまだ“直太朗の母”とは呼ばせない」という貫禄のある歌唱力です。
さて、ケースのなかには、
ジャケット/歌詞カード、CDのほかに、「「ざわわ」の希い」と題された、寺島尚彦(「さとうきび畑」作者)氏の筆になるメッセージ・カードも入っています。日付や内容から言って、寺島氏は、同時多発テロ以降の「報復という名の戦争」を終わらせたかったことがわかります。その後、その希いもさしあたり虚しく終わったことを念頭に置きながら聴いてみると、平和・反戦が到来するまでの遠い道のりについてあらためてじみじみと考えさせられる一曲です。