ヒトラー率いるナチス・
ドイツは、国防軍の名将たちを除けば、「黒歴史」のように忌み嫌われているのが現状です。
個人的には、ヒトラーより、スターリン、毛沢東、金日成・正日・こども大将などの方が遥かに「私利私欲にふけり、恐怖政治をほしいままにした人類の敵」だと思うのですが…
ところが、「ナチス・
ドイツのプラスの面」を具体的に述べた本を読むと、「何でナチ党が選挙で勝って、
ドイツの政権を取れたのか」「ヒトラーが
ドイツ国民の熱狂的な支持を受けたのか」が、かなり理解できます。
この本は「ナチスの発明」という
タイトルで、ハードウェアに的を絞った本かと思いきや、ナチス
ドイツの「ソフトウェア」(政策)にもかなりのページを割いています。その中で、ナチス・
ドイツが、
「20世紀前半の時点で、決して『世界で最も豊か』ではなかった
ドイツにおいて、労働者階級の生活水準を向上させ、労働者階級の権利を保護し、『平等社会』を作ろうと様々な具体的な施策を考え出し、実行していた」
「ナチス・
ドイツでは、
アスベストの健康への害を認識し、様々な対策を執っていた。これは、日本での
アスベスト対策と比較すると、実に『70年』先行している!連合国は、ナチス
ドイツの
アスベストについての様々な研究成果を顧みず、20年ほども経って、ようやく気がついたそうです」
「ナチス
ドイツは、もしかすると、21世紀現在までの世界史上、もっとも『労働者に優しい、平等社会を実現しようと具体的な施策を執る政府』だった?」
というような、今まで想像もしなかったことがいろいろと分りました。
私は歴史について詳しいつもりですが、
「ユダヤ人を迫害したり、東欧やソ連に侵攻して
スラブ人奴隷化政策を採ったりせずに、地道に国力を伸ばしていれば、『アドルフ・ヒトラーは人類史上の偉人の一人』となっていたのではないか?
と真面目に思いました。そう思わせるだけの具体的な材料が本書では提示されています。この本は、それを知るだけでも、読む価値が十分にあります。
ナチス・
ドイツは国家財政の面で根本的な問題を抱えており、ユダヤ人迫害や、
ポーランドや英仏との敵対がなくても、1940年頃には行き詰まる運命だった…とも聞きますが、その辺は本書には書かれていません。
今まで(故意に?)歴史に埋まっていた事柄を丹念に掘り起こした著者に敬意を表します。
「子宮頸がん予防ワクチン」は不妊促進薬であり、人口調整に利用されていると説く。
人口を「間引き」する優生学の思想と歴史に驚きました。
そして、「先細りしていたワクチンビジネスの救世主」とも触れられている。
知れば知るほど、景気に左右された医療の判断基準のサジ加減を感じることもある。
「進化論」のチャールズ・ダーウィン、「優生学」のフランシス・ゴルトン、哲学者で優生学者のバートランド・ラッセル、『利己的な遺伝子』の著者リチャード・ドーキンスなどを紹介されながら、地球規模の人口調整の考え方を問いかける。
ナチス
ドイツの最新科学技術を奪うアメリカ軍の計画「ペーパーグリップ」に、表のフォン・ブラン博士らの「V2ロケット」と、裏の「人体実験」があることを知りました。
ここでは、ナチスとは「人体実験」をするための組織と論じられている。
「日本が
明治維新後、資本主義を導入したのは、欧米列強から「劣った国と文明」と見られた場合、戦争という淘汰の対象になると気づいたから」と、ベンジャミン・フルフォードは膨大な資料と情報で世界の現状と歴史を読み解く。
第二次世界大戦の戦局の悪化に伴って、ナチス
ドイツのユダヤ人政策が、その追放から隔離、殲滅へとエスカレートしていく様相を冷静に描写。途中、東方の占領地で捕獲したユダヤ人を大量射殺(数万人規模!)する情景にナチス幹部ですら気分が悪くなって、ガス室という、効率的かつ機械的で迅速な処理手段へと切り換えていく過程に非常な説得力があって怖い。また、最近、その数字に疑問がもたれることも多い死亡者600万人も、さまざまな試みの末に積み上げられた数字ということで納得がいった。新書という形式でホロコーストの経緯を簡潔に整理した快作といえよう。別の角度からの次作も期待したい。