芥川賞を受賞した作品ということだけでなんとなく購入したこの本です。
あまり文学的に高尚な感想が書けないのですが、人間の人となりというのはいくらでも環境のせいにできてしまえるんだな、というのが正直な感想です。
こういうとちょっと極論になってしまいますが、親がいない、親が犯罪者、家がすごい貧乏などのすでに個人ではどうにでもできない環境から「普通」の人レベルになるには、相当の努力、人の助け、アドバイス、運などが必要とされると思います。
中卒の人間がどのように毎日の生活を送っているか(ホームレス予備軍ともいえる)がリ
アリティをもって感じられた。
西村賢太さんの「苦役
列車」や「暗渠の宿」などを読んで、藤澤清造という著者を知りました。
西村さんの人生に多大な影響を与えた作品ということで、大げさですがとても何か襟を正して緊張して読んだ気がします。
一日で一気に読みましたが、物語として面白かったです。行間から切ないくらい貧困、病苦、嫉妬、憤怒、悲哀などが伝わってきました。
また、ゴツゴツとした文体、文章のリズム、呼吸がとても私は好きでした。
今後も西村さんの作品にエールを送りたいです。