「風嵐童子、司鬼道士、ふしぎ島のキオ、Luck Stealer」の四編の短編が収録されています。
「ふしぎ島のキオ」はかずはじめさんの作品とは思えないものすごく地味な話しながら
「不思議の国の
アリス」テイストのある浮遊感のある話で、新鮮でした
「Luck Stealer」も連載前の原型ですが、現在の連載を連想させる話しで
これはこれでありかも、と思いました。
人間の暗黒面を描きつつも、透明感のある作画が印象的です。この透明感は背景など余分なものを極力描き込まないことから生まれていて、だから昔は手抜きだと思っていましたが、主人公の純粋な精神とよく合っているので、今ではこれはこれでいいんだと納得しています。
物語についてはまず設定がスキですね。この設定で主人公の職業が医者であるのが、このマンガの深いところでしょう。惜しいのはいいキャラが登場しても、基本的にその話の中だけしか登場しない点。作者の視線がもっといろんな方向に向いていたら、物語にも奥行きが出たのでは?
とはいえ、必ずしも主人公の行動が正しいとは思わないけれど、じゃお前ならどうするよ? と問われれば答えに困るような話をよくこれだけやったもんだと、連載自体は短かったけど、描いた作者をけっこー尊敬してますね。