私は某金融機関に勤務しています。社内活性化策を色々と検討した末、かつて金融機関でも盛んであったQCサークル活動の復活ということを考え始めました。最近の金融機関の事例を調べようと思い、ネットで検索したのですが、見つけることができませんでした。やむなく検索対象をサービス業に拡大したところ、この「がんこ」に出会いました。調べていくと数々の興味深い取り組み実践していました。QCサークル活動のみならず、サービス工学の導入、気づきサイエンス研究所の設立などなどです。それまでに2度ほど、「がんこ」で食事をしたことがありました。最初に訪れた時、ちょっと違うと感じました。それは料理の質の高さのだけではなく、通常の和食レストランにない「ホスピタリティー」でした。
この本を読むとその秘密が明らかになります。
バブル崩壊後、その成果に疑問を持った多くのサービス業がQCサークル活動をやめていきました（私の勤務先もそうでした）。「がんこ」は逆に強化する方向に向い、今でも大きな成果を得ているとのことです。
「がんこ」のマネジメントは、サービス業のみならず、すべての業種がお手本にすべきものであると思います。

本書ではよく知られたサービス業の代表的企業を取り上げて分析を行い、
先端的とされるサービスは他と何処が違うのかを明らかにしている。
その内容は具体的で分かりやすく、各例の最後に箇条書きでまとめを記してあるので
なお一層理解しやすい。
最終章では、サービス生産性向上のために何を為すべきか、順を追って方法論を展開している。
こう書くといかにもお堅く取り付き難いように思えるが、意外とさくさく読める。
社会システム工学やサービス工学を専門とする人は勿論、これからそれを学ぼうとする人にとって
お薦めの一冊である。