とても美しい映画です。物語も、
美術も、何もかも。
中でも私が何よりも心を惹かれたのは、作品世界そのものです。
人間達の世界は、まるでモノトーン。寒々しくて、笑いがなくて、
音楽すら「情熱的すぎる」という理由で禁止されたりする、
感情のない、つめたい、つめたい世界。
一方、死者の世界はというと、色とりどりで、陽気で、華やかで、
観ているだけで楽しい、暖かい世界。
その二つの世界の狭間で、生きて愛を求める主人公ビクターと、死してなお
愛に悲しむコープスブライド(死体の花嫁)、エミリー
私は、エミリーが愛しくて愛しくて、観ている間中、
胸をかきむしられる想いでいっぱいでした。
私にとっては、自宅が火事になったら、持って逃げたい
DVDのトップに挙がる作品です。
前半(3分の2程度の分量)では、この作品が作り上げられていく過程が、インタビューや製作中のスケッチ、撮影風景の写真、ストーリーボード等を交え、詳細に語られています。
後半(3分の1程度)はフォトストーリーとなっており、写真+物語の簡単な説明に、ストーリーボードもいくつか掲載されています。ストーリボードはたぶん撮影用の絵コンテみたいな役割なのでしょうか?掲載はわずかですが、作家ごとに少しづつ違う絵柄でかかれたボードは、コママンガかイラストのようで、個人的には楽しめました。ラフ絵的なものなので、もちろんあまり興味のない方もあるとは思います。
特筆すべきはフォトストーリ−中に、映画内のすべての歌詞が対訳つきで収録されていることです。歌詞を詳しく知りたい方には非常にお役に立ちます。
全体としては、ファンブック的なものではなく、製作過程のバックグラウンドに興味のある方向けの、比較的硬い内容になっていますので、ご注意ください。