現在、
SONY 在籍中の上田正樹のCDは廃盤になっているので、このアルバムは貴重です。
選曲も素晴らしく、このアルバムを入手したのは、けっこう前になりますが、何度でも聴ける名曲揃いです。
無駄な曲は一切なし。
音源的には、SBM(Super Bit Mapping)が採用されています。
それは何ぞやということですが…
従来の16ビットに比べ、16倍の情報量を持った20ビット音源から、CD16ビットを作成する際の画期的な信号処理技術で、限りなく20ビットに近いサウンドを実現。
しかし、現在2012年最新リマスタリング(24bit)が当たり前になっているので、少し劣りますが80年代のオリジナル・アルバムよりは音量、音圧ともに現在の平均レベルとなっています。
ただ、
ジャケットがあまりに酷いです。
何の写真やねん!?って感じですかね。
裏側のモノクロのライブ・ショットを前面にした方が売り上げにも影響したのではないかと、個人的には思っています。
正直に言うと、悲しい色やね、というイメージしかなかったのですが、
何気なく購入したこのDVDを見終わって、すぐに繰り返し見てしまいました。
バンドの面々が実に楽しそうに演奏しているし、見て、聞いていて、実に楽しい。
Otis Redding をリアルタイムで聞いた世代ではないのですが、なぜか懐かしい。
音声はドルビーデジタル5.1chとリニアPCMでの収録で、音質もまずまず。
映像が4:3のノーマルTV画質なのが惜しまれます。
プロジェクタとサラウンドシステムで、気分は
大阪ブルーノート。
このCDが発売されていた事に気付かなかったのは迂闊だったというか不覚をとったというか.....なぜなら、今までCD化されていなかったキティ・レコード時代の音源が収録されているからです。
ただ残念な事は、アルバム『上田正樹』と『PUSH & PULL』の楽曲はセレクションとなってしまっているという点かな。
キティ時代の音源の曲数からいって2枚組なんだからコンプリートは可能なのだが、レコード会社も冒険は恐かったのだろう。Disc.2の方は「悲しい色やね」あたりからのシングル曲が羅列されている。
ベスト盤にありがちな毎度毎度の選曲に閉口はするが、Disc.1の17曲は聴き逃せないものがありますよ。
ソロ・キャリア初期の名曲「悲しい日々」、
シングル盤のみだった「女は言葉じゃ通じない」、
映画“限りなく透明に近いブルー”のサントラに収録されていた
「WHEN A MAN LOVES WOMAN」(その後Re-Mixして『SONGS』に収録)、
何よりも重要なのは4曲入りミニ・アルバム『THE SESS
ION』が全曲収録されている事だ!。(アルバムというより12インチ・シングル?)
7.ハーダー・ゼイ・カム
10.東京 Fun Fun
大阪 Sock It To Me
11.Happy Birthday
12.鉄格子より愛をこめて
ツトム・ヤマシタ、フュージョン・バンドの“
スタッフ”がサポートしたこのアルバム、曲順はバラバラにされているが復刻した事に価値があると思う。
ツイン・ドラムを活かした
スタッフの演奏が素晴らしい「鉄格子より愛をこめて」は上田正樹ファンなら必聴と言い切ってしまおう。
ただ、アルバム『上田正樹』からの楽曲はサウス・トゥ・サウス解散直後で、サウスとは違った音楽をやりたいと“R&Bフレーバー”を本人自ら封印しているところがあり、フォーク・ソング的な歌を耳にして「悲しい色やね」で彼を知った人は肩透かしを喰らうかもしれない。
熱狂的なファンはアルバム復刻まではコレを聴いて凌ごう!
(復刻してほしいけれど、こればかりは大人の事情もありますし...)
上田正樹ビギナーさん、ジャケの写真は脱力するけれど、そこらの上辺だけのR&Bシンガーを聴くより、このアルバムを聴き込んだ方が良いと思うよ。