まさに北野武だなと感じる本でした。 北野武も言っていますが、やはり北野さんがここまでの地位を築くことができたのは時代と運がよかったのだと思います。 もし、今の時代に北野さんが出てきても、これほどの地位を築くことはできないでしょう。 北野さんの地位は、ある意味で特殊であると思います。 だからこそ、やりたいことができるし テレビ業界では、北野さんほど権力におびえることなく自由に発言する人はいないと思います。 かといって参考にできる人ではありません。尊敬はできますが、一般の人が北野さんの真似をしても反感を買って大変なことになると思います。 この本は、北野さんの本音がよく書かれてる本だとおもいます。
うん?なんか、さっき書いてあることと矛盾するなという内容もありましたが、それがまた北野さんらしいですし。北野さんからしてみれば矛盾なんてしていないわけで。 そもそも、自分の思想や思考などを矛盾なく文章にしようと思ったら、何万ページになることか。 でも、この本はうまくまとまっていて読みやすくて良かったです。 今の北野さんが、この本を読み返したら「へー誰が書いたの?」とか言って笑ってそうです。
私は残念なことに北野さんの新刊『超思考』と『今、63歳』の方を先に読んでしまうというミスを犯してしまった。 この2冊は、北野さんが自分を飾り立てていて読むに耐えなかった。 語りおろし(そんな言い方があるのは出版界のおかしなところだと思うが)だから、インタビューの巧拙とか その後の構成の巧拙も絡んでくるのだろうけれど、 近作の2書と比べて、本作『全思考』には、北野さんの裸の姿が出ている。
後半の映画の話になるとちょっと力が入りすぎているが、 おそらくインタビュアーが北野さんをコメディアンとしてではなく、映画監督だと認識しているからだろう。 本作を読んでよくわかるのは 北野さんは変幻自在ではあるが、核のところにあるのは真のおどけ者だって言うことだ。
北野さんと喋った、クマさんという料理人の独白部分、これは必要だけど、 クマさんというのはああいう口調で喋る人なんだろうか。
ここまで、“声を出して笑える本“ に出会ったのは初めてかもしれない。
電車などはもちろん、喫茶店でも読むのも控えた方がいいかもしれないほど、ニヤけるのは間違いなく、ニヤけるだけならまだしも噴き出してしまうのがオチだと思う。
それほど、この作品は笑いが必須。
あとがきにも書いてある、“ ビートたけしはいつだってウケる方を優先する “という言葉通り、この作品は笑わずには読めない一冊。
でも、こんな本を僕は待っていた。
がら空きの劇場でこれを見た時、エンドロールが終わってしばらく席を立てなかったことを憶えている。ラストのあの風に揺れるひまわりの花に、死後の世界を垣間見たような気持ちになったからだ。そして同時に思ったのは、「こんな映画をモノにして、たけしはこれからどうなってしまうのだろう・・・」という危惧だった。で、案の定、例のバイク事故・・・さもありなんと頷いたものだ。はっきり言ってこの映画、死に魅入られた者にしか撮れない種類のものだと思う。これ以後の北野作品は、知名度こそ得たものの、私には絞り粕のようにしか映らない。ソナチネこそが北野監督一生に一度の作品だったと断言できる。だからこの映画、繊細な方や鬱気味の方は心して見られたほうが良い。安楽死の毒薬を注射されるような、正真正銘の恐ろしい映画だから。
言うまでもなく評価の定着した名作であるので言うことはないのだが、あえて言わせて貰えば、月並みだが、身障者を特別扱いしていないのがいい。ただ映画館の大画面で見るのと較べビデオでは細かい部分が見えないのが惜しい。例えばサーフィン大会の申込書に何を書いているのかビデオでは読みとれない。とっても面白いのに。
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