吉田修一の原作は、刊行時に既に読んでいた。
この物語には大きな秘密があり、小説ではそれが終盤に明かされる構成となっている。
そのサプライズがこの男女のミステリアスなお話の肝になっていたと思うのだが、映画は中盤でその事実を明らかにする。
そして、そのことで、その後のふたりの男女のどうしようもない愛憎の深淵なドラマを掘り下げていくことになる。
これが凄い。
これは、加害者と被害者として、心に傷を負った当事者同士の心理の微妙な推移を追いながら、人間の愛憎とはかくも壮絶なものなのかを、台詞を極力排しての映像表現で描き、観る者の心がうちしひがられるような痛切で苦しみに満ちた恋愛映画。
原作のエッセンスを残しながら、見事に映画的に昇華した作品である。
お互い傷つき合ってしか生きていくことが出来ない悲痛。
もはや、憎しみと償いだけが生きていくうえでの糧となる。
その先にあるねじまがった条理を超えた愛。
ラストの渓谷の川べりでの男と記者の会話。
決して報われない、成就できない愛。
愛情と憎悪の均衡は、始めから決定的に壊れているのだ。
真木よう子は昭和の艶やかさと影を感じさせる女優さんで、美しいし、ムードがある。
でも、抑揚がない台詞回しで上手いと感じたことはなかったが、今作の役柄は、逆にそれが功を奏した。
その脱ぎっぷりを含め、女優として一皮剥けたと思うし、今後に期待したい。
彼女を巡るふたりの男に、大西信満と井浦新。若松孝二の「連合赤軍・あさま山荘の道程」で、坂東國男と坂口弘を演じていたふたりである。
大変分かりやすい解釈をされている本です。
仏教哲学者などが書かれた本は理屈っぽいけれど、満さんの解釈は一般の人が読まれても素直な文章で説明されているので、大変分かりやすく読みやすいです。
般若心経を唱える気にさせてくれます。
某ラジオ番組の紹介で知り、大変興味を持ったので発注してみました。幅広い分野からの引用で構成されてて、人生指南書というより生きていく上で側に置きたい特異な教養書という印象を持ちました。歩むべき路に迷った時に目を通したい座右の書として、若い方に推薦いたします。
秋川さんの話になりますが、過去に扁桃腺を除去した手術の話を聞きました。歌手にとっては致命傷にも成り兼ねない訳で、その絶望感からはい上がった人は強いと思います。…話は変わりますが、去年「ワールドトレードセンター」の試写会に行きました。周りからは迫力がなかったとか、つまらないと声が聞こえてすごく悲しい気持ちになりました。現実に親や知人を亡くした悲しみや孤独感はやはり本人にしかわかりません。僕は、孫の顔も見せる前に両親を亡くしました。ですが、この歌詞に初めて救われた気がします。ぜひ、誰が歌おうとこの歌詞に耳を傾けてください