これはシリーズ最高傑作の呼び声が高い作品です。本格ミステリーであり筋が通った出来です。謎解きが非常に楽しく、役者陣が面白い。山崎銀之丞や川原和久、
犬山
犬子の演技が光り輝く痛快作。
欧州の童話には、ファンタジーの向こうに「怖さ」を湛えた作品も数多い。こうした「ゴシック童話」の世界を、音楽として完璧に表現した――そう評されるアルバム。J-POPサウンドにチェンジした、後期・谷山浩子の最高傑作。主人公には、谷山浩子の理想像である「美少年」が多く登場する。彼はきっと、暗く淋しい目をしているのだろう。
M-1. 「王国」 は、少女を愛するあまり、王宮に閉じこめてしまった少年の物語。「君は僕だけのものでいて」――その想いを純粋培養した詞が怖いぐらい悲しい。♪窓辺に差し込む日差しの角度は ♪凍り付いたように幾千年 動かない。
M-2. 「会いたくて」 は、プラトニック・ラヴ(純愛)に胸を痛める少年の物語。会いたい――その想いだけで、夜、家を抜け出し、少女の家を目指す彼。明かりの灯る君の家を、ただ見上げることしか出来ない。
M-9. 「時計館の殺人」 は、江戸川乱歩の少年小説「時計塔の秘密」を思わせる。ワルツ(三拍子)で歌われる、不思議な詞が印象的。結ばれた少年と少女。♪いつまでも この夜が明けぬように、二人の思いは時間さえも止め、時計を壊してしまうのだった。
サウンド、メロディー、アレンジも完璧。この世界観で、これ以上の作品は、多分作れない。