すべてが怖い話というわけではないが、ここで語られている何篇かは本当にこわい。こんな怪談が昔の日本にあったのかと感心してしまった。何が怖いのかというと人がちゃんと死ぬのだ。それも結構惨たらしく。
最近の怪談は
幽霊が出てきても話の中の人物が死ぬことはめったに無い。大概が
幽霊が迫って来ての気絶落ちで(そうでないのも勿論あるが)、気づけば危機を乗り越えてしまっている。ところがここで出てくる話のいくつかは
幽霊(または得体の知れない何か)によって殺されてしまうのだ。ときには赤ちゃんでさえ!これは本当に怖い。
それにろくろ首、
雪女、のっぺらぼう、耳なし芳一といった大筋はなんとなく知ってるが詳細は忘れてしまっていた有名な話が載っていたのも嬉しい。
外国人だからこそこのような話に興味を持ち本としてまとめてくれた小泉八雲に感謝したい。
明治の初めの話。ほのぼのと心温まる話。ハーンからみると日本人は幸福で敬虔で純粋で道徳的に見えたようである。そこに語られる景色の美しいこと。松江を始め山陰を中心にした景色や人間模様が描かれるが、土地勘があるともっと楽しめる。現地へ訪れてみたら。この本をセットにして島根県、松江市はラフカディオ・ハーンのツアーを誘致してください。