あわただしく過ごしている毎日、そんな一日の最後に「センス・オブ・ワンダー」の一節を読むだけで、心はまだ見たことのないメインの森を散策しています。ひとつひとつの苔の緑の美しさ、
紅葉するかえでの色がまさしく「生きている」ことの喜びと不思議さをあらためて教えてくれます。やさしい言葉でカーソンは、「深い深いこと」を教えてくれているような気がします。幼い人々よりもむしろ成長した大人たちが読むことで、自分もまた、この大きな自然の一部なのだという「安堵感」を与えてくれます。メインの森の写真もまた心が和みます。現代人に必要な一冊のように思われます。
手塚治虫の
ジャケットデザイン、中島梓のライナーノーツ、当時SFマガジンにエッセイ連載中だった、難波弘之のコテコテのSFアルバムです。音楽的には、ばらばらというのは当時からの評価ですが、そんなことよりまず聞きましょう。(ただし、SF読んだことがない、という人にはすすめません。)あと、山下達郎のマニアの人も、押さえましょう。
出たばかりの対談集。阿川さんはテレビ番組での味のある「おじさんころがし」ぶりに日頃感心していた。頭のいいひとだね・・。この対談でも、福岡さんと息のあったやりとりを見せている。これまでの福岡さんの著書をまとめて簡単に解説してもらえる感じで、「おさらい」にはもってこいだ。これを読むと福岡さんの本4−5冊のダイジェスト版に軽くなってしまう感じだけど・・・。
子供時代の出会いと感動が語られているが、福岡少年が新種の虫(?)を見つけ・・(何せ日頃隅から隅まで読んでいる図鑑にも載っていない!)国立科学博物館に駆け込む・・。すると受け付けのお姉さんが、奥の研究棟の先生に会わせてくれた。日本の昆虫学の泰斗、黒澤良彦先生!!捕まえた時の状況を詳しく聞いて、「
カメムシの幼生だね・・。」というくだりが感動的。福岡ハカセは昆虫少年だったんだね。(そういえば養老先生もそうだった。)
阿川さんと福岡ハカセに共通の、子供時代の話題としては、バージニア・リー・バートンが語られている。子供の絵本(何冊があげてある。そのうち「ちいさいおうち」は私も、読み聞かせて、それなりに感動したな・・と思い出した。)他はドリトル先生とか・・。
まあ、6章にわたって色々な話題がカバーされているし、福岡さんの最近の考え方(「理系と文系の知を繋ぎ合わせる新しい生命学」)も語られている部分もあるし、中身は濃い・・。もちろん題名の由来である、レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」についても語られている。
この本のあちこちから彼女のメッセージがこぼれてくる。それは彼女がかつて願ってやまなかった、光の子供たちへのメッセージであり、またその子供たちを導く私たちへのメッセージだ。何気ない日常の中で繰り返される奇跡のような命の営み。気がつかないのではなく、気がつこうとしないのだ。すべてがひとつの大きな輪で結ばれている、私たちはその中で生かされているのだ。彼女のみずみずしい感性と、繊細な言葉、そしてその表現力、そして彼女の思いを表す写真たち。時間に追われ、常に走り続けなければいけない現代に生きる大人子供すべてに味わっていただきたい本である。