誰もが「自分がケインだったらどうしただらう?」と考えさせられる。かなり勇気がいる決断である。
正義感と使命感に燃えるケイン役をオスカー俳優ゲーリー・クーパーが演じる。作品としては“時計”がとても気になる嫌な小道具として何度も映り、“汽笛”の音と合わせて恐怖心を誘い出している。
西部劇なのにこれほど銃を抜かない作品は珍しい。不満としては悪役があまりにも弱すぎるのが難点でした。それよりも、ゲーリーとグレースの名優の共演だけでも見る価値は十分にある。1953年
アカデミー賞7部門にノミネートされ、うち4つのオスカーを受賞した名作です。テーマソングでもあるテックス・リッターの“High Noon(Do Not Forsake Me)”がとても情緒豊かに流れ、さすがアカデミー受賞曲に相応しい良い曲です。
最後に自らバッジを捨て、町民の前で無言で町を去るシーンがこの作品の言いたいことの全てだと思います。
この映画の見所は、ゲーリー・クーパーの渋い演技とテックス・リッターの特徴ある主題歌にある。クーパーの演じる主人公は、西部劇に有り勝ちな拳銃の名手でもなければ派手な立ち回りでもなく、勿論撃ちあいはあるものの、危険にしり込みする町民に裏切られ、一人で悪漢に立ち向かわざるを得ない羽目に陥った孤独な保安官として描かれている。刻一刻と近づいてくるクライマックスが、柱時計の振り子の動きと共に緊張感をいやがうえにも盛り上げる上級の演出となっており、フレッド・ジンマンの手腕が光る。ディミトリー・ティオムキンの名曲も、インディアンとの混血であるテックス・リッターの特徴ある歌声によって、聴衆の心に伝わってくる。歴代西部劇のなかで、第一級の出来栄えと言える名作である。